ドン・チェリーを継父に持ち、かつてはニュー・エイジ・ステッパーズリップ・リグ&パニックに参加。最近ではシングとのコラボで音楽通を唸らせたネナ・チェリーが、18年ぶりにソロ作を発表した。プロデュースはフォー・テット(オマール・スレイマンに続きキャラの濃ゆ〜い人を手掛けますな)、演奏はロケットナンバーナインが担当しているため、全盛期を知らないヤングも手に取りやすいだろう。往時のファンク・パンクと現行ベース音楽を線で結びながら、絶妙な余白を残したシンプルかつヒネリの効いたサウンドを披露。そのなかで、乾いた質感と艶っぽさの同居する歌声が唯一無二の存在感を放っている。96年作『Man』のラストと同名異曲“Everything”で幕を閉じる演出も良い。