ワープに移籍してより活動の幅を広げた2010年以降のイーノ

BRIAN ENO 『Small Craft On A Milk Sea』 Warp(2010)

ワープへの移籍第1弾ということで大きな話題を呼んだ本作は、レオ・アブラハムスとジョン・ホプキンスとの即興演奏によるインスト・アルバム。静から動、ふたたび静へと移ろう全体の劇的な構成に、即興とは思えない強固な意志を感じる。 *北爪

 

BEN FROST & DANIEL BJARNASON 『Bedroom Community』 Solaris(2011)

メルボルン出身の音響作家がビョークやシガー・ロス作品で知られるダニエル・ビャルナソンと組んだ本作に、イーノはアドヴァイザーとして尽力。オーケストラ・サウンドを歪ませながら壮大な宇宙を音で表現してみせた。 *山西

 

BRIAN ENO AND THE WORDS OF RICK HOLLAND 『Panic Of Looking』 Warp(2011)

リック・ホランドの書いた詩を、スカウトされた一般の人々やイーノ自身が朗読していく異色作。人の声を〈歌〉ではなく〈言葉〉として捉え、その言葉と多彩な電子音とが織り成す共鳴や調和を浮遊感のある音楽に昇華させた、先鋭的で美しい逸品だ。 *北爪

 

SEUN ANIKULAPO KUTI & EGYPT 80 『From Africa With Fury: Rise』 Kalakuta Sunrise/Knitting Factory/Because(2011)

『Someday World』にも参加したジョン・レイノルズとイーノの共同プロデュース作。過剰に手を加えることはせず、隙間を活かしながらアフロビート本来の切れ味を浮き彫りにしていて、その音作りは〈ライクティ〉でも活かされることに!? *山西

 

BRIAN ENO AND THE WORDS OF RICK HOLLAND 『Drums Betweens The Bells』 Warp(2011)

『Panic Of Looking』のセッションから生まれたEP。深海のように静謐なトラックに呪文めいたミニマルなポエトリー・リーディングが乗った、幻想的な実験作。 *北爪

 

 

BRIAN ENO 『Lux』 Warp(2012 )

21世紀に突入して初となる純粋なアンビエント・アルバム。極端なほどシンプルに研磨されたピアノと電子音が静かに鳴り響く瞑想的な空間は、音楽を聴いているというよりも悠久の時の流れに身を浸しているような錯覚すら起こさせる。 *北爪

 

DIDO 『Girl Who Got Away』 RCA(2013 )

〈9.11〉をテーマとする本作収録曲“Day Before We Went To War”に、共作&鍵盤で参加したイーノ。鍵盤の単音リフ、さりげない環境音、ダイドの優しい歌声によって人々の傷を癒していきます。 *山西

 

 

RACHID TAHA 『Zoom』 Naïve(2013)

フランス在住のアルジェリア人シンガーによる最新作。これまでも彼のライヴ・メンバーに加わることがあったイーノは、スパイ映画のテーマ曲に砂漠のブルースを足したような“Voila Voila”でベース&コーラスを担当。 *山西

 

VARIOUS ARTISTS 『And I’ll Scratch Yours』 Real World(2013)

このピーター・ガブリエルのトリビュート・アルバムにおいて、イーノは“Mother Of Violence”を披露。アコースティックな原曲を、不穏な電子音によって驚くほどダークにアレンジしている。 *北爪

 

DAMON ALBARN 『Everyday Robots』 Thirteen/Parlophone/ワーナー(2014)

デーモンがオペラ用に書き下した『Dr Dee』でのコラボを経て、イーノはこの新作に2曲でヴォーカル参加。特に子供コーラスを従えたバロック・ポップ調の“Heavy Seas Of Love”が、先行シングルにも選ばれて大きな話題に。 *山西

 

OWEN PALLETT 『In Conflict』 Domino/HOSTESS(2014 )

最近ではテイラー・スウィフトやリンキン・パークらのストリングス・アレンジを担当するまでになったシンガー/ヴァイオリニスト。間もなく登場する4年ぶりのソロ作にイーノが関与しているそうで……。 *山西