ピエール・バルーと出会い、伴奏者としてコンサートに参加したり、水橋孝との『Mr.Boujangles』がカルト人気を博したりと玄人筋に評価の高い田中の満を持しての作品。透明感溢れる右手と淡々とベース音を奏でる左手、左右の手が対話を繰り返すように織りなすピアノ・サウンド。空間の間に音を埋め込んで行くように感じるのは、頭ではなく感じる通りに弾いているからだろう、2010年代になって急速に増えたノン・フォービートジャズ、その向こうにはジャズ的な感情にさえ拘束されたくないフリージャズな精神があるのかもしれない。60年代マイルスの影響が強い選曲も、ギル・エヴァンスと関係の深いスティングの9曲目も注目。

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