ビル・フリゼールOkeh移籍三作目は、『星に願いを』と題され、クラシックフィルムや50~60年代のテレビ番組からモチーフを得た作品で構成される。一から紡ぎあげたような緻密な編曲により名曲に新たな顔を与え、ヴィオラ奏者の盟友エイヴィン・カンを前面に据えコンテンポラリーでシリアスなムードに仕上げた楽曲とアメリカーナなムードを行き来する様はどちらもビルフリの得手であり彼の音楽のヴァラエティを存分に楽しめる。表題曲や《ムーン・リヴァー》でチャーリー・ヘイデンの愛娘ペトラ・ヘイデンによる優しく艶やかなヴォーカルが差し込まれれば、この上なく暖かい気持ちに包まれる。

 


オーケーからの3作目はまたしてもユニークなルーツ探訪作品となった。今回のテーマは〈映像音楽〉。バーナード・ハーマンエンニオ・モリコーネら冒険心に溢れた作曲家の名旋律を、エスプリの効いた独特な音色で料理していく匠。その味わいはドリーミーにしてピリッとスパイシーだ。郷愁感たっぷりのスタンダード曲で登場する心を溶かすような女性ヴォーカルが、ヘイデン・トリプレッツのペトラっていうのも最高。