GEORGE FEST
息子ダーニが陣頭指揮を執った、〈俺たち世代〉によるジョージ・ハリソンのトリビュート祭り!

 2001年にこの世を去ったジョージ・ハリスン。彼の功績を讃えたトリビュート・ライヴと言えば、エリック・クラプトンの呼びかけで縁のある豪華スターが勢揃いした〈Concert For George〉が有名だけど、2014年9月28日にLAのフォンダ・シアターで開かれた〈George Fest〉もファンの間で重要視されているイヴェントだ。アル・ヤンコヴィックフレーミング・リップスといった幅広い面々が参加し、ビートルズからトラヴェリング・ウィルベリーズまでジョージの名曲を歌い継ぐお祭りなのだから、そりゃ気にはなるだろう。

VARIOUS ARTISTS George Fest: A Night To Celebrate The Music Of George Harrison Hot/Vagrant/ソニー(2016)

 その模様がようやく『George Fest:A Night To Celebrate The Music Of George Harrison』として作品化された。実にめでたい。音頭取りは息子のダーニ・ハリスン。会場はこじんまりしていて、ロイヤル・アルバート・ホールで行われた〈Concert For George〉と比べたらだいぶ規模は小さいが、それこそがダーニの狙いでもあった。彼がめざしたのは、〈自分と同世代のアーティストを多く集め、親父のディープな曲を自由に演奏するショウ〉だったのである。コールド・ウォー・キッズブラック・レベル・モーターサイクル・クラブらが、ジョージの尖った楽曲をクールにキメていくのを耳にしながら、父上も天国でさぞかしご満悦だろうと感じてみたり……。

 で、そのステージ上には終始アットホームな空気が流れており、聴き進めるうちに祭りの輪へ自然と引き込まれていくところが本作の良さ。ストロークスニック・ヴァレンシが“Wah-Wah”を、キラーズブランドン・フラワーズが“Got My Mind Set On You”を溌剌と披露していて楽しいし、ノラ・ジョーンズ(ジョージの師匠であるラヴィ・シャンカールの娘!)が“Something”や“Behind That Locked Door”を、このうえなく色っぽく歌い上げているのも最高だ。おっと、ブライアン・ウィルソンアル・ジャーディンによる“My Sweet Lord”も忘れちゃいけない。フィル・スペクターが手掛けた70年の大ヒット曲を、とっても気持ち良さそうに歌う御大が素敵じゃないか。そうそう、ダーニのヴォーカルがあまりにジョージとソックリで、彼が登場するたびにアナタもきっとドキッとしてしまうかと思われます。