COLUMN

CHRISTINE JENSEN JAZZ ORCHESTRA 『Habitat』

カナディアン・ジャズの美と現在を描く、クリスティーヌ・ジェンセン

CHRISTINE JENSEN JAZZ ORCHESTRA 『Habitat』

 1993年のマリア・シュナイダー・オーケストラのデビューから、およそ20年。近年のビッグバンド・シーンは、かつてないほど多様化してきた。アメリカでは大ヴェテラン・ベーシスト、ルーファス・リードが、エリザベス・カトレットの彫刻にインスパイアされた『Quiet Pride』を70歳にしてリリース。また中堅のペドロ・ジラウド(b)は、出身地のアルゼンチンの音楽とリズムと、ジャズの融合をはかり、昨年サニーサイド・レコードから全米デビューも飾った若手の挟間美帆も、ストリングスとホーンが混在する独自のサウンドを構築。インプロヴィゼーションをメインとしながら、ジャズという範疇に収まらないアンサンブル・ミュージックが、生み出されている。

CHRISTINE JENSEN JAZZ ORCHESTRA Habitat Justine Time(2013)

 本作のヒロイン、モントリオールを拠点に活躍するクリスティーン・ジェンセンも、この文脈に登場したアレンジャー/コンポーザーだ。サックス奏者でもあるジェンセンの、ラージ・アンサンブル作品の第2弾である本作は、2010年の『Treeline』から大きな前進が聴き取れる。ストーリーを喚起するドラマティックなソロに定評がある、姉イングリッド・ジェンセン(tp)は3曲に参加。《Sweet Adelphi》ではクリスティーンもソプラノ・サックスでソロを取り、姉妹競演が実現した。

 ペルーのリズムを取り入れた《Blue Yonder》、カナダのネイティヴ・アメリカンの真冬の1,500kmに及ぶデモ行進にインスパイアされた《Nishiyuu》、ネブラスカ大のリンカーン・ジャズ・オーケストラへのコミッション・ワークである《Treelines》など、壮大なテーマの曲が並ぶ。チューバユーフォニアムを使って低音部を増強した楽器構成や、アンサンブルがオフになる間を生かしたバランスの取り方など、卓越したテクニックも感じさせる。 2010年の第一作のニューヨークでのショウ・ケースには、マリア・シュナイダーの姿も客席に見えた。ポスト・マリア・シュナイダーの有力候補の一人である。

40周年プレイリスト
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