今やグラスゴーだけでなくスコットランドを代表する国民的バンドと言っても過言ではない、ベル・アンド・セバスチャン。そのフロントマンであるスチュアート・マードックが監督、脚本、サウンド・トラックを手がけた本作。音楽的な側面ばかりが評価されがちだが、行き場のない若者の葛藤と再生は、どことなくケン・ローチ監督の作品を思い出させ、また、サリンジャーの代表作「ライ麦畑でつかまえて」の雰囲気すらも連想させられる。初監督作品ながら、アズティック・カメラの『君に捧げる青春の風景』を映像化することを見事なまでに成功させた。音楽だけでなく映画でもグラスゴーにハズレなし。