ECMの一角をNYCのジャズが埋めていく。見慣れた景色のような、そうでないようなECMにNYCの湿った臭気が漂う。ラルフ・アレッシユリ・ケインという欧州を経由してECMに現れた。このアルバムの冒頭、シンプルなピアノの和音の重力を迂回するようなトランペットが奏でるメロディを聴いていると、このトランペッターの癖が聴こえるが、それは随分、作曲的なアイデアから来ているのではないかと思う。弾いては消えてゆくピアノ、ドラム、ベースの響きの距離を縫い込むようにトランペットを鳴らす彼の仕草も、コンポーザー/パフォーマーというダウンタウンの作曲の都市の伝統に根付くもの、ジャズのそれではない?!

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