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次の時代をおもしろくしていけるものが作りたい

――スタジオよりもいっしょにご飯を食べる時間のほうが大事ってこと?

ミコ「めっちゃ大事ですね! むしろそれがいちばん大事なんじゃないかな。みんなでご飯を食べながら〈私、最近こういうのが好きなんだ〉みたいな話をしていると、そこから新しいアイデアが浮かんでくるんだよね」

ヤマモト「そういう会話がいちばん自然に出てくるのって、やっぱり食事の時間なんですよ。美味しいものを食べてるときって、自然と楽しい会話が生まれてくる。例えば、“すしですし”なんてそこから生まれた曲ですから」

――あー、それはわかりやすい(笑)。

ヤマモト「“ありがたす”もそうだよね(笑)。みんなの間で軽く〈ありがたす!〉と使ってるうちに、だんだんと〈これはやっぱり曲にするでしょう〉みたいな感じになって(笑)」

ミコ「“もどかしいテレパシィ”なんかもそうじゃない? 私、昔のアニソンが大好きなんですよ。それで、そういう感じの曲が歌いたいって」

ヤマモト「80~90年代前半頃のアニソンだね」

――なんかそれって、ショウさんが80s的なサウンドを好む感覚とも上手く繋がりそうですね。

ミコ「確かに! 共通しているところはあるのかもね」

ヤマモト「なんでだろうね。もしかすると、微妙にリアルタイムでは体感できなかった時代のものをやりたくなる感覚がお互いにあるのかな」

スタッフ「今回サウンドに関しても、80sのアニソンやJ-Popはかなり聴いています。オリジナリティーあるものも多いけど、当時なんでパクリと言われなかったんだろうってくらいのUKニューウェイヴそのままな音とかありますよね。でも、どれもいまでは考えられないくらいの試行錯誤があって生まれた音なんだろうなと思って、まずはそれを真似てみる。そこから、ふぇのたすらしい新しい音や組み合わせが出来ることは多いです。実はシンセとかそれほど詳しくないんですよ。だからRolandのシンセでDX7の音を作ろうとして、逆に新しいものが出来たってこともありました」

――ちなみにミコさんはどうして昔のアニソンが好きになったんですか。

ミコ「きっかけはなんだったっけ? よく覚えてないんですけど、高校生の頃からよく聴いてたんですよね」

――例えばどの曲?

ミコ「『らんま1/2』の“じゃじゃ馬にさせないで”。どこかであの曲を聴いて〈めっちゃくちゃカワイイ!〉と思ったんですよね。それで調べてみたら、それが『らんま1/2』のオープニング曲だと知って。でも、やっぱり私たちの場合は細かい音楽性の好みとかより、〈いまみんなで楽しめるものがやりたい〉みたいなところで一致している気がする。ショウさんが作る曲に対して、私が〈これはイヤだ!〉とかまったく思わないのは、〈ショウさんはいまこれがおもしろいと思っているんだ!〉っていうのがよくわかるからなんです。私はふぇのたすで次の時代をおもしろくしていけるものが作りたいと思ってるから」

西尾えつ子の89年のシングル“じゃじゃ馬にさせないで”

――じゃあ、みなさんがいまおもしろいと感じている最新のものをぜひ知りたいです。

ミコ「ミキヒコさんはやっぱり新人声優でしょ?」

――(笑)。そうなんですか?

「アニメが大好きで、最近は中の人にも興味がいってるんですよね(笑)。〈この人、普段はどういう声してるんだろうなあ〉とか。それで声優ラジオを追ってみたり、イヴェントに行ってみようかと思ったり」

――ガチですね(笑)。ミコさんは?

ミコ「私はなんだろう……難しいなあ」

――じゃあ、訊き方を変えましょう。ふぇのたすの活動がない日は何をしてますか。

ミコ「呑みに行ってます(笑)。休みの日はいつも誰かを誘ってご飯を食べに行くんですよ。私、高校生の頃はすごく塞いでたんですけど、その自分がイヤだったし、みんなと仲良くしたいっていう思いがすごく強かったんです。でも、いまはそこで〈呑みに行こうよ〉っていうと、みんなとすぐ気楽に遊びに行けるじゃないですか。それが私はすごく好きで……って、こんな答えで大丈夫かな(笑)」

――バッチリです(笑)。じゃあ最後にショウさん。

ヤマモト「僕は行動経済学ですね」

ミコ「いまその話するの!? もう嫌だあ(笑)」

ヤマモト「(笑)。これはあらゆる業界に言えることなんですけど、経済システムって、合理的な人間に対してどうアプローチするのかが主流だったんです。それが2000年頃から経済学のメインストリームで、人間には合理性以外のところに選択の余地が大きくあるんじゃないかって話が出てきて」

ミコ「みんな、勉強会みたいな目になってる(笑)」

ヤマモト「でも、音楽の場合は合理的な判断ではなく、楽しいからみんな聴いているわけで。で、それは学問的にもちゃんと理屈にできるんですよ。しかも、そこで生まれたいくつかの理論を見ていくと、〈これって音楽の現場にも応用できるじゃん!〉と思うものが結構あって。で、僕はいまそれをふぇのたすの活動にもちょこちょこ採り入れてるんです」

――すごい(笑)。

ヤマモト「僕、めちゃくちゃ理屈っぽいんですよ(笑)。でも、そういうことも含めて楽しくやりたくて。CDが売れた枚数の結果だけが残るより、〈何かをやったからこういう結果になった〉って実感したいんです。もちろん〈いい曲を作ったから売れた〉っていう実感もほしいんですけどね(笑)。どちらにしても、僕らは未来を楽しくするために音楽を作っているので」

――最後にそれぞれのキャラクターがうまく表れましたね(笑)。じゃあ、今日はこれで終わりにします。お疲れ様でした!

一同「ありがたす!」