INTERVIEW

アルゼンチンのピアニスト、アンドレス・ベエウサエルト、クラシックもECMも南米音楽も同一軸で咀嚼する自身の演奏を語る

(C)Ryo Mitamura

 

クラシックもECMも南米音楽も同一軸で捉え咀嚼する次世代のピアニスト

 〈世界から日本から、ピアノ音楽の現在と未来に出会う二日間〉と題し東京・めぐろパーシモン大ホールにて2年ぶりに開催されたフェスティバル『ザ・ピアノエラ2015』。朋友のフルート奏者フアン・パブロ・ディ・レオーネフアンピ)と共にアルゼンチンより初来日、二日目のトリをつとめたピアニスト、アンドレス・ベエウサエルトはアルゼンチンの人気グループ、アカ・セカ・トリオのメンバーであり、『Dos Rios』『Cruces』という2枚の自己名義のアルバムでも日本の音楽ファンに知られた存在。今公演では全10曲をダイナミックかつ表情豊かに演奏、満面の笑みで拍手喝采を浴びた後、アンコールでは多くの観衆が期待していた、ブラジル至宝の歌声タチアナ・パーハを交えた幻のセッションが実現したのだ!

 1曲目《Vento Bom》で観衆は水を打ったようにじっと聴き入り、続くウルグアイの名曲《エサ・トリステサ》で、タチアナの共演者ヴァルダンとのピアノ連弾も加わり、全ての人々を美しい音楽の楽園へと運んだ。そんな感動のピアノエラ・コンサートを経て、全国5公演ツアーを終えたアンドレスに話をきいた。

 「ペドロ・アスナール・バンドで最初に活動したのは、僕自身がECMの音楽とパット・メセニーを熱心に聴いていたから。クラシックも勉強したけど、多くの若者同様、僕もセル・ヒランチャーリー・ガルシアスピネッタなどのアルゼンチン・ロックを聞き、C.ブアルキ、E.ジスモンチ、H.パスコアール、C.ヴェローゾなどブラジル音楽が好きだった。友達とそれらをコピーしたり、即興演奏を録音するうち、自分のレパートリーが生まれたのだと思う。プライベートでは別れたけど、タチアナ・パーハは今も僕にとって最高の歌手だ。機会があればまたデュオでツアーをしたいね」

 「『Dos Rios』は一種の偶然で生まれた。それまで作ってきたものを、たまたま素晴らしいスタジオとグランドピアノを提供してもらったのでまとめることが出来たんだ」

 「ファンピとは自分のグループでもアカセカの録音でも常に一緒で、いわば“旅の友”。さらに彼はハーモニカもピアノも演奏するし、歌も歌うしね。僕たちのレパートリーは、H.ファトルーソ(ウルグアイ)、C.アギーレ(アルゼンチン)、L.フレイレ(ブラジル)、M.ラジーニャ(ポルトガル)と広範囲に渡っているけど、みんな今も現役で共に演奏し親交をもち、我々が尊敬する音楽家たちだ。僕たちは彼らの音楽を演奏するだけではなく、心を通わせているんだ」

 ジャンルを超え縦横無尽に鍵盤を操る若きコンポーザーが、再来日する日はそう遠くない気がした。

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