世界でもっとも影響力のあるクラブDJであり、BBC Radio 1でのプログラムを皮切りにここ日本でも番組を持つなど〈Worldwide〉の名のもとで長くラジオDJとしても活躍(現在はBBC Radio 6で放送中)。さらには自身のレーベルであるブラウンズウッドを立ち上げてホセ・ジェイムズオウニー・シゴマ・バンドディグス・デュークダイメ・アロセナなどを輩出するほか、〈Havana Cultura〉シリーズでキューバ音楽を掘り下げ――実にさまざまな形でみずからの審美眼にかなった音楽を紹介し続けるジャイルズ・ピーターソン。そういった活動と並行して、〈Worldwide Festival〉〈Worldwide Awards〉といったオリジナルなラインナップを集めた自身のイヴェントを毎年行っている彼が、この春、日本で新たに〈WORLDWIDE SESSION〉を立ち上げる。

5月4日(水・祝)に東京・新木場STUDIO COASTで開催される〈Gilles Peterson presents WORLDWIDE SESSION 2016〉は、〈大人のための〉都市型音楽フェスティヴァル。ジャイルズの盟友であるDJ/プロデューサーの松浦俊夫もこのプロジェクトに加わって出演アーティストをセレクト、ジャズを中心とした国内外のミュージシャンが集結することとなった。サックス奏者のマーシャル・アレンサン・ラーの世界観をいまに伝えるサン・ラー・アーケストラフライング・ロータスカマシ・ワシントンらとの仕事で名を馳せるミゲル・アトウッド・ファーガソンがアンサンブル名義で登場するなど、ジャイルズだからこそ集められた貴重なアクトが一同に会する、日本ではまたとない機会になるはずだ。ここでは豪華なラインナップの観どころをジャイルズ&松浦のコメントと共に紹介! ゴールデン・ウィーク期間中の開催と日取りも良いので、気になった人はこの機会にぜひ足を運んでほしい。 *Mikiki編集部

※3月31日(木)まで前売りチケットが早割で購入可能。詳細は最後に!

 

サン・ラー・アーケストラ

まずは何と言ってもサン・ラー・アーケストラだろう。そりゃサン・ラー本人は93年に他界しているけれど、きっと天国か宇宙のどこかからアーケストラを遠隔操作しているはずなので、これはもう正真正銘、偽りのない〈サン・ラー・アーケストラ〉なのである。

90年代以降、サン・ラーの音楽世界はさまざまな文脈上で再評価されてきた。時にはスピリチュアル・ジャズの最高峰として、時にはジャム・バンドのルーツとして、時にはコズミック・サウンドの元祖として。2000年代に入ってからも長年に渡ってサン・ラーを支えてきたマーシャル・アレン(アルト・サックスほか)が遺志を引き継ぐ形で楽団を継続。2002年及び2014年には来日も果たしている。筆者は14年前のライヴを観ているが、奇妙な格好をした大所帯の楽団が奏でる音楽宇宙にはブッ飛ばされたものだ。複雑かつ唯一無二な楽曲構成はサン・ラーの遺産といっても良いものだが、それ以上にマーシャル・アレンを中心とするバンド・アンサンブルの見事さ、迫力に打ちのめされた。サン・ラー・アーケストラは〈あの人やこの人がいないのに、このグループ名を名乗っちゃっていいの?〉というよくある(元)レジェンドたちとは違って、バリバリの現役なのである。

マーシャル・アレン
 

また、サン・ラーの生誕100周年となる2014年には再評価の気運がふたたび高まった。マーシャル・アレンがサン・ラーの代表曲のごく一部をセレクトした2枚組コンピ『In The Orbit Of Ra』(2014年)、ジャイルズ・ピーターソンの選曲/ミックスによる『To Those Of Earth… And Other Worlds』(2015年)という2作品もその気運を後押しした。

『In The Orbit Of Ra』収録曲“Plutonian Nights”
 
『To Those Of Earth… And Other Worlds』収録曲“When There Is No Sun”
 

今回のステージも総勢13名の大所帯で登場する。陣頭指揮を執るのは、5月24日で92歳になるマーシャル・アレン御大だ。13名のメンバーにはノエル・スコット(アルト・サックスほか)やダニー・レイ・トンプソン(フルート/バリトン・サックス)ら近年のレギュラー組も含まれる。規定外のスケールと迫力をもって迫ってくる深淵で広大な音楽宇宙には誰もがノックアウトされることだろう。

サン・ラ・アーケストラの〈グラストンベリー2014〉のライヴ映像

 

~ジャイルズ&松浦俊夫に訊く、あなたにとってのサン・ラーとは?~

――今回どうしてサン・ラー・アーケストラを選んだのでしょう?

ジャイルズ・ピーターソン「アーケストラの遺産、影響はいまだに続いているし、絶えることはない。クリエイティヴなステージング、アートワークからアーティスト性まで、すべてのレヴェルでサン・ラーの精神というのはマーシャル・アレンと彼のトループ(一団)により引き継がれているからだ」

松浦俊夫「STUDIO COASTのステージにはスケールの大きなバンドが合うだろうと思ったこと。そしてフェスティヴァルの主旨に合う〈異彩を放つ〉アーティストが必要だと考えた時に、適任者は彼らしかいないだろうと思いました。古くからのファンには彼らの演奏を大音量で楽しんでもらいたいですし、フライング・ロータスを〈ヤバイ〉と形容する若い世代には、その源流を辿るきっかっけになってほしいと思います」

――サン・ラー・アーケストラの音楽との出会った時の印象は?

ジャイルズ「80年代にロニー・スコッツ(ロンドンの老舗ジャズ・クラブ)で最初に彼らの演奏を観た。もちろんサン・ラーがまだ舵を取っていて、ヴォーカルはジューン・タイソンだった。あんなジャズを観たことがなかった僕は完全にぶっ飛んだよ!」

松浦「残念ながらサン・ラーが存命中に生でその演奏を体験することは叶いませんでした。90年代初頭にいわゆるスピリチュアル・ジャズの系譜を辿るなかで、アルバム『Space Is The Place』(73年)を探している時に偶然出会った1950年代のコズミック・レイズ名義によるドゥワップ“Dreaming”の美しさに戸惑いと感動を覚えました』

――いまのジャイルズさん、松浦さんにとって、サン・ラーはどのようなミュージシャンですか?

ジャイルズ「彼らは音楽の歴史のなかで、もっとも影響力のあるグループといっても過言ではないし、ジャズだけでなく多くの幅広いオーディエンスに現在も受け入れられていると思っている」

松浦「〈異端児〉扱いされがちな彼ですが、実際はとてもシリアスに独創性に富む音楽を追究していた〈挑戦者〉=JAZZERだったと思います。ジャズを基軸にしながらも、ブルースやファンク、ワールド、アヴァンギャルドとあらゆる音楽を内包しながら、フリーキーに、時にポップに、誰にも真似出来ない音を生み出していった開拓者でもあります」

――サン・ラーは音楽界/ジャズ界の他ミュージシャンにどのような影響を与えていると思いますか?

ジャイルズ「彼らはオリジナルのDIYグループで、自分たちのアートワークやイヴェントをみずから手掛けている。また有機的に言葉を拡散していっているところだね」

松浦「独自性を追求し続けるアーティストたちのなかで、影響を受けていない人はまずいないのではないでしょうか。それは直接的に音楽性の影響だったり、精神性だったりと、それぞれ異なると思いますが、世代やジャンルを超え、ワン&オンリーをめざす人たちにいまも影響を与え続けていると思います」

――サン・ラー・アーケストラは、今回のフェスにおいてどのような位置付けですか?

ジャイルズ「彼らはこのイヴェントの基礎だよ。いつ、どんなタイミングでプレイしたいかはマーシャル・アレンに任せるつもり。なんて言っても彼がビッグ・ボスだからね!」

松浦「太く大きな柱になるでしょうね。ジャイルズや私、そして若い世代のアーティストたちが、彼らアーケストラとどうセッションできるか、そして土星に眠るサン・ラーに届けることができるかがこのフェスの大きなテーマになると考えています」

――ずばりオーディエンスへ伝えたい観どころ・聴きどころは?

ジャイルズ「ただ彼らのグルーヴの精神に身を委ねてほしいね。そうすればアーケストラがあなたのソウルを違うところに連れていってくれるはずだから」

松浦「頭を〈空っぽ〉にしてステージに対峙してほしい。そしてあなた方の目の前で起こることに驚き、微笑み、そして感動してください」

 

ミゲル・アトウッド・ファーガソン

ジャイルズいわく〈現代のギル・エヴァンス〉。たとえ彼の名前を知らなかったとしても、近年、アレンジャー/ヴィオラ奏者/マルチ・インストゥルメンタリストとして凄まじい活躍を見せている彼の仕事は、どこかで耳にしているはずだ。ミゲルのオフィシャルサイトには彼が関わった作品のジャケットがズラリと並んでいるが、フライング・ロータスの『You're Dead!』(2014年)を筆頭に、ハイエイタス・カイヨーテモッキーカルロス・ニーニョ1975クァンティックなどなど、そのラインナップは壮観だ。レイ・チャールズドクター・ドレーもミゲルの手腕に絶大な信頼を寄せてきたという。いまもっとも求められているアレンジャー、それがミゲルなのだ。

フライング・ロータスの2014年作『You're Dead!』ティーザー音源。ミゲルは“Obligatory Cadence”を含む5曲でストリング・アレンジやキーボード演奏などを担当
 
モッキーの2015年作『Key Change』収録曲“Whistlin”。ミゲルは同曲を含む5曲にストリング・アレンジやヴィオラ演奏などで参加
 

彼のベースにあるのはクラシック。ただし、J・ディラのトリビュート・プロジェクト及びカヴァー・アルバム『Suite For Ma Dukes』(2009年)で聴かせた流麗なストリングス・アレンジによって名を上げたことからもわかるように、そのアレンジは決して〈クラシカル〉の一言で片付けられるものではない。ドクター・ドレーの依頼によって結成されたというミゲル主宰の弦楽四重奏団、クァルテット・ファンタスティコ名義でリリースされた『Music For Dreams』(2015年)は完全即興演奏によるものだったが、クラシックとアンビエントの中間領域を漂うような質感にはミゲルの独自性が見事に発揮されていた。

クァルテット・ファンタスティコの2015年作『Music For Dreams』ティーザー音源
 

今回はロバート・グラスパーと共に来日経験もあるジャマイア・ウィリアムズ(ドラムス)やソロ・プレイヤーとしても注目を集めるウォルター・スミス3世(サックス)ら、ジャズ界の精鋭たちを揃えた6人編成での来日。この2016年にはブレインフィーダーブルー・ノートという新旧の名門レーベルからそれぞれ新作を発表する予定で、それらのアルバムに収録される楽曲も演奏されることだろう。まさに大ブレイク直前、〈2016年のミゲル・アトウッド・ファーガソンを観た〉というのはのちのち重要な意味を持ってくるはずだ。

ミゲル・アトウッド・ファーガソン・アンサンブルの2014年のライヴ映像

 

~あなたにとってのミゲル・アトウッド・ファーガソンとは?~

―― 今回なぜミゲル・アトウッド・ファーガソンを選んだのでしょうか?

ジャイルズ「僕自身、かなり前からミゲルのファンなんだ。彼はLAの音楽シーンにおいて砦のような人物で、フライング・ロータスやケンドリック・ラマーたちと作品を作ってきた。ミゲルがいてこそ、彼らの音楽にオーケストラ的なスキルが生まれているんだ。ブレインフィーダーからリリースする最新アルバムは待ちに待った新作で、今回のイヴェントでそこからの曲も聴かせてくれるはずだよ!」

松浦「以前からとても気になっているアーティストだったことがいちばんの理由です。ジャンルを超えて注目されているのにもかかわらず、いままで一度も日本でライヴを行っていない。だから実際に観てみたい(聴いてみたい)。そしてブレインフィーダーからアルバムを間もなくリリースするとの情報を得たので、これはまさにこのフェスティヴァルの根底にある〈もっと評価 されるべきアーティスト〉ではないかということで即決しました」

――ミゲルに対してどういうイメージを持っていますか?

ジャイルズ「ミゲルはまさにベースありきの現代のギル・エヴァンスだ。彼のディスコグラフィーをチェックすればわかるけど、カルロス・ニーニョからサーラーバリー・マニロウの作品にまで参加している、LAの音楽シーンにおいては重鎮といえる存在だよ」

松浦「グラフィティー・アートも好きなダライ・ラマ(イメージ)。クラシック、アンビエント、ジャズそしてヒップホップ。さまざまなジャンルを横断しながらセッションを繰り広げ、それが他者の作品であってもきちんとそこに署名を残していける仕事人」

――ミゲルのパフォーマンスに期待することは?

ジャイルズ「早めの時間帯で空気感をきめてもらいたいね! このフェスは過去の遺産と現代の音楽を称えるものにしたいから、彼の演奏でいまのレジェンドを聴かせたいと思ってるよ」

 

SOIL & "PIMP" SESSIONS

ジャイルズ主宰のブラウンズウッドから作品を発表していたこともお馴染みのSOIL & "PIMP” SESSIONS。ジャイルズとの仲はもはや10年以上となるわけで、彼らの出演もある程度予想されたことだろう。ただし、今回のソイルはひと味違う。日本のジャズ・レジェンドの楽曲を彼ら流にアレンジしたスペシャル・プロジェクト〈SOIL& “PIMP" SESSIONS PLAY JAZZ HIP JAP〉でのステージなのだ。ソイルのオリジナル曲はもちろん、後述する日野皓正とのセッションで彼のナンバーを披露したりなど、さまざまなスペシャル・パフォーマンスが予定されており、通常の彼らのライヴとは趣向の異なるレアな内容となる。日本のレジェンドたちに対してリスペクトを示すと同時に、彼らに〈挑戦状〉を叩き付けるかのような冒険心あふれるスペシャル・セッションが繰り広げられることだろう。

SOIL & "PIMP" SESSIONSの2014年作『Brothers & Sisters』収録曲“表nothin' 裏girl”
 

また、彼らは本イヴェントの1か月前にあたる4月6日にニュー・アルバム『BLACK TRACK』をリリース、さらには同作を引っ提げた全国ツアーの最中での出演となる。〈Black & Mellow〉をテーマとし、濃密な音楽世界を展開した力作『BLACK TRACK』以降の進化したソイルを目撃するまたとないチャンスとなる。日本のみならず、各国のフェスに出演し、オーディエンスの心をかっさらってきたSOIL & "PIMP" SESSIONS。祝祭感溢れる強烈なライヴ・パフォーマンスによって〈WORLDWIDE SESSION〉におけるピークのひとつを作り出してくれるはずだ。

『BLACK TRACK』初回盤特典DVDのトレイラー映像

 

~あなたにとってのSOIL & "PIMP" SESSIONSとは?~

――今回ソイルを選んだのはなぜですか?

ジャイルズ「彼らはここ何年もエネルギッシュなジャズダンス・シーンの先端にいる、マッシヴなエネルギーを持ったバンドだからだよ」

松浦「ジャイルズのブラウンズウッド・レコーディングスから作品をリリースしていたほどお気に入りのバンドですから、自然な流れですね。さらに言うと、その昔、最初にジャイルズにソイルの作品を渡したのは私ですから、もうこれは必然と言ってもいいでしょう」

――ソイルに対してどういうイメージを持っていますか?

ジャイルズ「強いていえば、パワー・ジャズかな。次の若い世代に繋ぐ扉を開け、これからのジャズに可能性や興味をもたらせてくれる存在だよ。彼らの特徴はクラブやフリージャズ、ロック、そういったエネルギーをもっていることだ。パワーそしてエンターテイメント、メロディー、すべて備えてるね」

――いまの松浦さんにとって、ソイルはどういうミュージシャンですか?

松浦「オフ・ステージではみんなナイスガイ。ステージ上では獣(魔物)。心強い連中であることは間違いありません。彼らのパワフルでエンターテイニングな音楽(ステージ)は 国内に留まらず、海外でもジャンルを超えて影響を与えていると思います」

――オーディエンスに伝えたい観どころ、聴きどころは?

ジャイルズ「演奏してるメンバーそれぞれがもたらすシンクロニシティーを体感してほしい、何年も一緒にプレイしているバンド・メンバーだからこそ お互いに理解し合っているし、タイトな演奏に注目してほしいね」

 

日野皓正

以前からジャイルズのDJプレイやラジオ番組に触れてきた方であれば、彼が常に日野皓正の楽曲群をプッシュしてきたことはご存知のはずだ。“Send Me Your Feelings”や“Samba De-La Cruz”といった楽曲はレアグルーヴ・クラシックとして海外でもよく知られているが、その背景にはジャイルズがこれらのレコードを繰り返しターンテーブルに乗せてきたことも少なからず影響を与えている。

また、今回の日野の出演は、ジャイルズと共にキュレーションを務める松浦俊夫の〈日本のフェスティヴァルだからこそ国内の、それも海外でも活躍するアーティストにオファーしたい〉という強い思いのもとに実現した。ジャイルズと松浦であれば、海外の有名アクトだけをズラリと並べることもできたはず。だが、彼らは日本の地で開催する意味を求め、この国のジャズ・レジェンドである日野に出演をオファーした。しかも、今回はSOIL & "PIMP" SESSIONSとのセッションという形での出演。単に日野のクラシックを演奏するだけでなく、それらの現代的魅力を引き出したものとなることだろう。

なお、松浦は〈このプロジェクトを機にぜひこのセッションを作品としても残したいと一方的に夢見ています〉ともコメントしており、〈日本のジャズ〉における縦軸を繋ぎながら、その先の可能性までを見据えた記念すべきセッションとなるのは必至。こちらのステージも見逃し厳禁だ。

 

~あなたにとっての日野皓正とは?~

―― 日野さんにオファーしたのはどのような想いからですか?

ジャイルズ「100%日本のジャズ・レジェンドだからさ。それに僕は彼のクラシックな音源をいまでもプレイし続けているからね」

松浦「このフェスティヴァルのキュレーションのオファーをもらった時に、日本のフェスティヴァルだからこそ国内の、それも海外でも活躍する アーティストにオファーしたいと思いました。そこで最初に思いついたのが日野さんだったのです。思えば90年代、西麻布YELLOWというクラブでレギュラー・パーティーをやっていた時、そこでの(日野の)ライヴの話や、レコーディングへのゲストに招こうというアイデアがあったのですが、残念ながら共に実現することはありませんでした。 積年の思いがこのフェスティヴァルで叶うこと、そしていまのシーンを引っ張るソイルとのセッションという形で実現するので、キュレーターとして最高の喜びを感じています」

――あなたにとって日野さんはどのようなミュージシャンですか?

ジャイルズ「日野はいろんなジャンルのジャズで演奏して、そのたびにフレッシュな音を聴かせてくれる。彼はとてもモダンなアーティストだよ」

松浦「日本発世界行きを体現してくれたジャズ界のレジェンド。音楽とその姿勢に強く影響を受けました」

――日野さんはジャズをはじめとする音楽界/ミュージシャンにどのような影響を与えていると思われますか?

ジャイルズ「彼こそ世界的な音楽、そしてジャズ界において活躍しているアーティストであり、極めて高度なテクニックを持ち合わせたアーティストでもある。ジャズのエッセンスを本当に理解しているといえるだろう。また日本のジャズ界の重要なアンバサダーとして世界的にも尊敬されている存在さ」

松浦「ミュージシャンだけでなく、私たちのようなDJにも多大な影響を与えてくれたと思っています。ジャズをプレイするDJで彼の作品を所有していなければ〈ジャズDJ〉とは言えないと断言できるほど」

――オーディエンスへ伝えたい観どころ、聴きどころは?

ジャイルズ「なぜ彼が伝説なのか、その冷静なテクニックと伝統的なジャズの手法に注目してもらいたい」

松浦「レジェンドと新世代のアーティストが交わることによって起きる化学反応で、〈その先のなにか〉=ジャズを楽しんでください」

 

〈DJs〉
ジャイルズ・ピーターソン

この日のジャイルズ・ピーターソンのDJプレイがどのようなものになるのか、現段階ではまったく予想がつかない。常に世界中の音楽に対してアンテナを張り続け、なおかつ広範囲の音楽をカヴァーしてきたジャイルズである。もしかしたら恐ろしいほどディープなデスカルガをかけるかもしれないし、最先端のベース・ミュージックをかけるかもしれない。

ジャイルズ・ピーターソンによる2016年の〈Boiler Room〉でのブラジルDJセット
 

ひとつだけはっきり言えるのは、彼がリスナーに対して常に未知の音楽を伝える役割を果たしてきたということ。それも自己表現のためではなく、素晴らしい音楽をひとりでも多くの人とシェアしたいという思いのもとで、世界各地のあらゆる楽曲がセレクトされてきた。きっとこの日のDJプレイにおいても未知の音との出会いを用意してくれることだろう。2016年5月のジャイルズがレコメンドする〈ワールドワイド・グルーヴ〉とはどのようなものなのか。ひょっとしたら、まず聴くことのできないレアな楽曲もプレイされるかもしれない。

 

松浦俊夫

90年代のUnited Future OrganizationU.F.O.)時代から常に日本のクラブ・カルチャーをリードしてきた松浦俊夫。クラブ・イヴェントでのDJだけでなく、〈4人の実力派ミュージシャンと共に、東京から世界に向けて現在進行形のジャズを発信するプロジェクト〉をテーマとするHEXのプロデュースを手掛けるほか、ファッション・ショウの音楽監修を担当するなど相変わらず広範囲の活動を展開している。

HEXの2014年のライヴ映像
 

また、InterFM897の人気番組「TOKYO MOON」でもDJを担当しており、〈WORLDWIDE SESSION〉の1か月前には同番組でオンエアされた楽曲、今回の全出演アーティストも紹介したディスクガイド「TOKYO MOON -MUSIC FOR LIFE-」を刊行。さらには番組と連動した松浦の選曲による2種類のコンピレーション・アルバム『TOKYO MOON -Songs Of Yesterday-』『TOKYO MOON -Speak Low-』もリリースされる。こちらで紹介されている楽曲はジャズやソウル、ブラジル音楽など、まさにジャンルレス。さまざまな壁を飛び越えながら、共通したトーンによってさまざまな楽曲群をまとめあげていく音楽ソムリエとしての実力をこの日のDJプレイでも見せつけてくれるはずだ。

 


 

 

Gilles Peterson presents WORLDWIDE SESSION 2016

日程:5月4日(水・祝)
会場:東京・新木場STUDIO COAST
開場/開演:15:00(20:30終演予定)
料金:3月31日(木)まで 早割第2弾8,900円!
※4月1日(金)以降は前売9,500円
http://www.worldwidesession.com/

Mikiki読者 3組6名様ご招待! ★

〈WORLDWIDE SESSION 2016〉の開催を記念して、Mikiki読者3組6名様を本フェスにご招待します! 応募締切は4月22日(金)。どうぞふるってご応募ください。応募方法は以下をチェック!

★メールでの応募方法
件名に「Mikiki〈WORLDWIDE SESSION 2016〉招待希望」、本文に(1)お名前(ふりがな含む)(2)お電話番号(3)メールアドレスをご記入の上、下記のアドレスまでお送りください。

mikiki@tower.co.jp

当選者には、ご記入いただいたメールアドレスへ当選通知メールを送信いたします。
※応募情報が未記入の場合は無効とさせて頂きます。

★Twitterでの応募方法
(1)Twitterにて「@mikiki_tokyo_jp」をフォロー
(2)該当のツイートをRTしてください。

当選者にはDMにてご連絡させて頂き、上記必要事項の確認をさせて頂きます。
※フォローされていない方の応募は無効とさせて頂きます。

※応募に際してご記入いただいたお名前・ご住所・ご連絡先等の個人情報は、弊社からの各種ご案内(イヴェント、アーティスト情報など)、アンケートの統計 資料の作成に利用させていただくことがございます。ご記入いただきました情報はタワーレコード株式会社にて保管し、主催のフロンティアインターナショナルへお伝えする場合を除き、第三者へ提供することはございません。タワーレコード株式会社のプライバシー・ポリシーに関しましては、次のサイトをご参照ください。
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〈WORLDWIDE SESSION 2016〉関連企画も!

★Fm yokohama84.7 WORLDWIDE SESSION 2016 SPECIAL
日時:4月10日(日)20:00~21:00 
DJ:松浦俊夫、MITSUMI
〈WORLDWIDE SESSION〉を大特集するFMヨコハマのプログラム!
5月にブラウンズウッドよりリリース予定のダイメ・アロセナの新作収録曲が初オンエアされます
※詳細はこちら

★Gilles Peterson presents WORLDWIDE SESSION 2016 開催直前 スペシャルトーク
日時:4月16日(土)16:00~17:30 
出演:湯浅学、原雅明、松浦俊夫
会場:HMV&BOOKS TOKYO 6階イベント・スペース
観覧フリー(ご来場多数の場合、座席が確保できないことがあります。ご了承下さい)
〈WORLDWIDE SESSION〉の出演者に焦点を当て、それぞれの専門家の視点からその魅力を掘り下げます!
※詳細はこちら