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FALL OF SOUND
耳で聴いたピープル・トゥリー
大滝詠一をめぐる音楽の果実は、ここに一本のトゥリーを生んだ

堂島孝平 COMMUNICATIONS -Dojima Kohei's Third Anthology- 徳間ジャパン(2008)

堂島孝平楽団で“座 読書”を、『NIAGALA CALENDAR』的手法を採った『DJKH Calendar』では“君は天然色”をカヴァー。ここに収録の“CIDER '03”も明らかなナイアガラへのオマージュで、彼のライヴには大滝自身も何度か足を運んだとか。 *樋口

 

竹内まりや Longtime Favorites ワーナー(2003)

ご主人の山下達郎より大滝詠一に通じるものを感じる彼女のメロディーセンス、その原点には60年代の欧米ヒット・ポップスがあり……ということで、それらのカヴァーから成る本作。フランク&ナンシー・シナトラ〈恋のひとこと〉でのデュエットは大滝のラスト録音曲となった。 *久保田

 

福山雅治 残響 ユニバーサル(2009)

関係なさそうで、実は福山バンドのバンマスは井上鑑。ナイアガラ・サウンドの要だった鍵盤奏者に影響されてか、ここでは“明日の☆SHOW”というウォール・オブ・サウンド風の楽曲を発表。昨年、音楽番組で“さらばシベリア鉄道”を歌っていたのも記憶に新しい。 *栗本

 

土岐麻子 TOKI ASAKO "LIGHT!" ~CM & COVER SONGS~ rhythm zone(2011)

〈幸せな週末〉をテーマに編んだ2006年の『WEEKEND SHUFFLE』では“夢で逢えたら”をカヴァー。土岐版〈CM Special〉という趣きの本作に収められた“Gift ~あなたはマドンナ~”をきっかけに幾度もコラボしているEPOは、大滝とも縁の深いギタリスト、佐橋佳幸の(高校の)後輩だったり。 *栗本

 

冨田恵一 冨田恵一 WORKS BEST~beautiful songs to remember~ rhythm zone(2011)

〈探求者〉や〈職人〉という言葉が似合うほど、音楽に対する造詣の深さなどに通じるものがある両者。ストリングスで彩られたサウンドがひとつの特徴であり、あちらがアキラから満里奈なら、こちらはユーミンからももクロと、ヴェテラン・アーティストからアイドルにまで至る幅の広さも共通項。 *樋口

 

SHE & HIM Volume 3 Merge(2013)

オールディーズをモダンな視点で捉えて、極上のポップソングに仕立て上げる男女デュオ。シンガーのズーイー・デシャネルのブリル・ビルディング系作曲センスと、相棒M・ウォードの凝った音作りは最強の組み合わせだ。彼らに大滝ソングを歌ってほしい。 *村尾

 

LONG VACATION LONG VACATION 20th Anniversary Collection vol.1 ブリッジ(2012)

有頂天解散後の91年にKERAが結成したバンド。フレンチ・ポップ、サントラ、テクノなどさまざまなジャンルの名曲をカヴァーして、ポップソングの魅力を探求する温故知新な姿勢は大滝詠一的かも。バンド名はもとより“君は天然色”をカヴァーして大先輩にご挨拶。 *村尾

 

吉澤嘉代子 変身少女 e-stretch(2014)

そのオールディーズ風のメロディーが大滝詠一と通じる、と周囲に指摘されるまで大滝を聴いたことがなかった吉澤嘉代子は、天然色の大滝チルドレンといえるかも。本作では大滝作品で知られる伝説のコーラス・シンガー、伊集加代が参加してナイアガラ度もアップ。 *村尾

 

カジヒデキ ICE CREAM MAN BLUE BOYS CLUB/AWDR/LR2(2014)

中1の頃に『A LONG VACATION』を聴いて衝撃を受けたカジヒデキ。“ICE CREAM MAN”は大滝の訃報に触れて作った曲だ。“君は天然色”を思わせる跳ねるリズムやガールズ・ポップ風コーラスに、かつてカジ少年が大滝ソングに見た夏の風景が浮かび上がる。 *村尾

 

星野みちる E・I・E・N Voyage HIGH CONTRAST/ヴィヴィド(2014)

さまざまな80年代的意匠を凝らしたサウンドでチャームを輝かせてきた彼女。本作収録の“雨の中のドリーマー”ではバッチリとナイアガラ・サウンドをキメてます。アレンジは、やはり自身のユニットでもナイアガラへのオマージュを捧げていたmicrostarの佐藤清喜。 *久保田

 

OKAMOTO'S Let It V ARIOLA JAPAN(2014)

ロックンロール・バンドだってうっとりするような王道のポップスがお好み。彼らと同じようにメンバー全員が同じ姓を名乗っていたラモーンズは、かつてフィル・スペクターと組んだけど、本作ラストを飾る“虹”では、自力でナイアガラ経由のアメリカン・ポップスを再現。 *久保田

 

JINTANA & EMERALDS Destiny PPP/Pヴァイン(2014)

横浜のアーバン&メロウ集団、PAN PACIFIC PLAYA周辺で活躍するレトロなヴォーカル&インストゥメンタル・ユニット。一十三十一を中心に繰り広げられるドリーミーな女声ハーモニーは、まるで現代のスペクター・サウンド。大滝が耳にしてたら、シャネルズみたくCMで起用してたかも。 *栗本

 

佐々木健太郎 佐々木健太郎 felicity(2014)

歌も演奏もすべて自分でこなす〈一人多重録音〉――その手法こそ大滝がまずやらなかったものだが、成熟期のナイアガラ・サウンドで聴けるような温かいメロディーと雄壮な佇まいがここにはある。(山下達郎のカヴァーではない)“クリスマス・イヴ”なる曲では、フィレス・サウンドも匂わせて。 *久保田

 

The Pen Friend Club Sound Of The Pen Friend Club Sazanami(2014)

60年代のポップ・グループさながらのファッション・スタイルやジャケットのアートワーク。そのサウンドはといえば、フィル・スペクターやビーチ・ボーイズといった60年代のアメリカン・ポップスを思わせるもので、ナイアガラ・ファンにも馴染み深いところ。 *樋口

 

クレイジーケンバンド もうすっかりあれなんだよね ユニバーサル(2015)

中学生の時に大滝が手掛けたサイダーのCMソングを聴いて、CM作曲家になりたいと思ったという横山剣。キャッチーでノヴェルティー感を漂わせた作曲センスは大滝からの刺激の賜物か。クレイジーケンバンドでカヴァーした大滝ソング“Tシャツに口紅”もイイネ! *村尾

 

乃木坂46 透明な色 N46Div./ソニー(2015)

最初に〈乃木坂〉って聞いたときに、〈現・ナイアガラ・レーベルのお膝元じゃん!〉なんて大騒ぎはしませんでしたけど、“ぐるぐるカーテン”“おいでシャンプー”“走れ!Bicycle”なんてオールディーズ・テイストのチャーミングなポップスを立て続けられちゃあ、因果を感じてしまうもの。 *久保田

 


【PEOPLE TREE】大滝詠一
★Pt.1 コラム〈大滝詠一の足跡〉はこちら
★Pt.2 ディスクガイド〈大滝詠一を知るための10枚〉、コラム〈ナイアガラ・サウンドの原典〉はこちら
★Pt.4 新作『DEBUT AGAIN』のコラムはこちら