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フランス国立リヨン管弦楽団が2年ぶりに来日! 映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズ作品にフォーカスする注目公演も

フランス国立リヨン管弦楽団が2年ぶりに来日! 映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズ作品にフォーカスする注目公演も

レッドカーペットが存在しないことに誇りを持っている映画祭の街のオーケストラ

 6月に2年ぶりの来日公演を行うフランス国立リヨン管弦楽団は、その町のカラーがはっきりと音楽性に表れているという点で、特別な存在だろう。音楽監督レナード・スラットキンとともに行われた前回の来日公演でも、押し付けるような音は一切なく、常に柔らかく演奏し、そこから生じる上質さ、淡い色彩感、官能といったものに、独自の美学があった。

 南仏のリヨンは、美食の都というだけでなく、さまざまな面で強い個性を持つ街だ。まずここは2000年の歴史を誇る世界有数の古都でもある。ルネサンス期の旧市街はユネスコ文化遺産に指定されるほどの貴重なもので、古代ローマ劇場も残っている。その一方で若々しさもある。13万人もの学生が集まる学園都市であり、市の予算の20%もが文化関連に費やされる(!)という一大文化都市なのだ。音楽のみならず映画や美術も盛んで、さまざまなフェスティバルが催され、「リヨン・光の祭典」(もともとはカトリックのイヴェント)では毎年300~400万人もの観光客が訪れる。若者が多い街ということもあり、アヴァンギャルドに対する理解が深いのも特徴だ。

 リヨンの文化は「エリート主義ではなく、一般に開かれている」ということだと、リヨン市の文化政策担当者から聞いたことがある。たとえばリュミエール映画祭では、レッドカーペットが存在しない。そのことを彼らは誇りに思っているという。こうした民主的な精神は、さすが革命の国フランスならではのものだろう。

 今回のフランス国立リヨン管弦楽団の来日公演では、映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズが、スピルバーグ監督作品のために書いた作品群が演奏されるプログラムが目を惹く。この公演、クラシック音楽ファンのみならず映画ファンも多く訪れるに違いないが、そのときに頭の片隅に置きたいのは、「レッドカーペットが存在しないことに誇りを持ち、決してエリート主義ではない」映画祭の街のオーケストラの演奏だということである。

 ちなみに、私はスラットキンに「フランス国立リヨン管弦楽団に、リヨン人気質というのがあるとしたら、それは音にどう反映されているのか?」と聞いてみたことがある。

 質問に対する答えはこうだった。

 「リヨンほど音楽作りをする上で理想的な街はないと思います。その理由の大きなものはライフスタイルです。パリではみんな競争していて、走っている感じがします。東京もそうかもしれません。けれどリヨンでは、人々が穏やかで落ち着いていてリラックスしていて、しかも真面目でもあるのです。それは音楽を作る上で理想的な環境なのです。聴衆の質も若くて素晴らしい。リヨンは未来を見据えて教育にこそ投資し、聴衆を育てているのですから」

レナード・スラットキンとフランス国立リヨン管弦楽団によるベルリオーズ〈幻想交響曲〉

 


LIVE INFORMATION

レナード・スラットキン指揮 フランス国立リヨン管弦楽団特別公演
グレイテスト・ヒッツ:J.ウィリアムズの映画音楽
The Magical World of John Williams
With Personal Talk by Leonard Slatkin

「CINEMA MUSIC CONCERT J.ウィリアムズ×S.スピルバーグ」と題し、J.ウィリアムズがスピルバーグ映画に書き下ろした作品で構成したプログラムを予定しておりましたが、この度、出演者の強い意向により、よりJ.ウィリアムズの書いた映画音楽作品等にフォーカスし、パワーアップしたプログラムに再編成することとなりました。

○6月27日(月)19:00開演/18:00開場
会場:大阪・フェスティバルホール
○6月29日(水)19:00開演/18:00開場
会場:東京・NHKホール
出演:フランス国立リヨン管弦楽団、レナード・スラットキン(指揮)
プログラム:
「フック」から ネヴァーランドへの旅立ち
「ジュラシック・パーク」から テーマ
「ジョーズ」組曲
「シンドラーのリスト」から テーマ
「レイダース 失われたアーク《聖櫃》」から レイダース・マーチ
「E.T.」から 地上の冒険
オリンピック・ファンファーレとテーマ
「ハリー・ポッターと賢者の石」から ハリーの不思議な世界
「未知との遭遇」から 
「スーパーマン」から スーパーマンのマーチ
「スター・ウォーズ」組曲

フランス国立リヨン管弦楽団 その他の公演
○6月30日(木)19:00開演/18:30開場
会場:東京・サントリーホール
出演:フランス国立リヨン管弦楽団、レナード・スラットキン(指揮)、ルノー・カプソン(ヴァイオリン)
曲目:ムソルグスキーラヴェル編):組曲「展覧会の絵」ほか

http://www.kajimotomusic.com/jp/artists/k=233/

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