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まだまだあるよ! 日本語ラップを聴かない人も聴ける日本語ラップ

スチャダラパー あにしんぼう ZENRYO/SPACE SHOWER(2016)

諧謔精神に満ちたラップで世を照らし続けて26年。この最新ミニ・アルバムでも3人は、ゆる~いスタンスで人生を楽しむ方法を授けてくれる。ロボ宙を迎えて力強くマイペース宣言する“ジャンクリートコングル”では〈ブギーバック〉の名フレーズをスクラッチするなど、SALUの新作にも貢献しているSHINCOのごっさファンキーなトラックもあの頃と変わらなくて、トキメキが止まらない! *北野

 

KOYANMUSIC prelude 諭吉(2015)

SALUの新作をはじめ、PONY万寿など外部へのトラック提供も増えている、SD JUNKSTAの才人が自身のラップを封印して臨んだプロデュース・アルバム。そのSALUを筆頭にIttoOMSBMARIAD.D.S三島5lackなど曲ごとに多彩な声を迎えて深みと美を表現する。別ヴァージョンによる田我流との先行曲“WALKIN'”がやはり絶品。 *出嶌

 

THE OTOGIBANASHI'S BUSINESS CLASS SUMMIT(2015)

HAPPYSuchmosなどバンド界隈とイヴェントを共にする機会も多い3人組。靄のかかった不思議な酩酊感を誘うサウンドと仲間とだべり合うみたいにルーズなラップは、いわゆるマッチョイズムとは距離を置いてモラトリアムなムードを楽しむ心地良さが。“PINK UNICORN”のドリーミーな感覚はインディー・ポップ好きにも刺さるはず。 *北野

 

GOKU GREEN HOTEL MALIFORNIA BLACK SWAN(2015)

メロディアスに浮遊するラップが紡ぐのは、気の合う仲間や女の子のこと、そして気ままで楽しいリラックス・ライフ。20歳にして早くも3枚目となる早熟ラッパーの最新作は、浮世離れした感性でもって聴き手を雲の上へと誘ってくれる、甘美な毒を秘めた一枚だ。チルウェイヴクラウド・ラップ以降のアンニュイなムードにもドンピシャ! *北野

 

Jinmenusagi ジメサギ インディペンデント業放つ(2015)

SALUとはDJ SOULJAH曲で共演済みで、電波少女の作品にも連続参加しつつ、尻尾を掴ませないスタイルを貫く人面兎。本人を中心にOMSBやDubbyMapleらが手掛けたビートは極端にスローモーで妙におどろおどろしく、そこで〈ペニーに乗ってる大学生殺す〉なんてサラッと言ってベロを出す。バッドなユーモアと刺激が欲しい人はぜひ。 *北野

 

ZORN The Downtown 昭和レコード(2015)

般若が率いる昭和レコードの〈第三の男〉。昭和トリオによる配信シングル群やDJ RYOWKEN THE 390とのコラボでも注目を広げているが、まず聴かれるべきはやはり本作に収録された名曲“My Life”だろう。美麗なDJ OKAWARIのループに乗せて必ずしもスマートじゃない日常を綴る同曲や“葛飾ラップソディー”など、リリシズムの深まりがヤバい。 *出嶌

 

Creepy Nuts たりないふたり Trigger(2016)

フリースタイル・モンスターのR-指定DJ松永によるユニットの初ミニ・アルバム。“中学12年生”をはじめヒップホップ好きのあまりこじれまくった自身を自虐的に紹介する姿にニヤリとなりつつ、そのひたむきさが羨ましくなるのも事実だ。MOP of HEADとのコラボ曲“爆ぜろ!!”など、ダイナミックに言葉を畳み掛ける名人芸も大爆発! *北野

 

メガネ 手さぐり パイッパイーン/Terminal Explosion(2016)

ゴルジェ界隈での活動で知られるOLラッパー。ウィスパー気味のふわっとした声質はやくしまるえつこDAOKOに似て、少し憂いのある口調がクセになる。この初作では食品まつりRyuei Kotogeらのゴツゴツとしたビートに、食べ物のことや日頃抱いているもやもやした感情を浮かべていて、何だか友達の話を聞いてるような気分に。 *北野

 

ぼくのりりっくのぼうよみ hollow world CONNECTONE(2015)

ブレイク前の2014年にハシシのレーベルより配信EPを届け、電波少女の『WHO』にも参加していた彼は、いまや〈空虚な世界〉の表現者として羽ばたく。青みがかった歌うようなフロウの射程の広さは言わずもがな、Monkey_Sequence.19製のコズミック・ビート上を泳ぐ“Venus”のクールさは、PSG周辺が好きな人にもツボだろう。 *北野

 

Moe and ghosts×空間現代 RAP PHENOMENON UNKNOWNMIX/HEADZ(2016)

JAZZ DOMMUNISTERSへの客演が話題を呼んだ女性ラッパーのを含むユニットと、3人組ポスト・ロック・バンドとのコラボ盤。コントーションズのサウンドを解体して歪に積み上げたような変拍子ファンクにピタリと張り付くラップは驚異的。無作為なようで緻密に計算された言葉の連なりは、反復による陶酔と転調による覚醒を繰り返すストレンジな演奏と共に、新しい聴覚の扉を開く。 *北野

 

Romonosov? AQA ORIGAMI(2016)

電波少女などのMVを手掛ける映像制作チームのMemento Mori Memoriにも所属するMC。2作目となるニュー・アルバムでは、抽象的な比喩を重ねながら韻を踏みまくるスタイルが深まり、〈渦巻き渦巻き渦巻く 糞詰りよしなに押流す〉(“メイルシュトローム”)というリリックよろしくイメージが奔流となって流れ込む内容に。そんななか、一時の休息を歌った“睡蓮”の穏やかな微笑にほっこり。 *北野

 

NIHA-C BRIGHT LIGHT BULLMOOSE(2015)

SKI-HI主宰のレーベルと契約して本作でCDデビューした彼は、2008年からMC NOSE名義でネットに作品を公開してきた人。電波少女“オーバードーズ”でも聴ける軽やかでエモい持ち味を武器に、ここではハシシがフックを歌う爽快な応援ソングからZeebra曲を引用したアゲ系までを披露。溌剌とした姿に青春の輝きが透けていてグッド! *北野

 

#vs_WORLD w/z. FREO(2015)

Yuto.comが総合プロデュースを担当し、多様なメンツが〈with〉という表題通りのコラボを展開したコンピ。秀吉ACEボンジュール鈴木RIKECIMBA空也MC楠ろあ……とシンガーから読モまでハードもナードもボーダレスな面々が集うなか、言×THEANSWER十影との刺激的な巴曲“Stories”にハシシが登場している。 *出嶌

 

抹 a.k.a. ナンブヒトシ  諦めのススメ ORIGAMI(2016)

ネットラップ〉の古参にして、近年はEspeciaDJ JET BARONとのコラボでも知られるMCのファースト・アルバム。フー・シュニッケンズあたりを思わせるラギッドな90年代ノリからファンコットまで、勢いのある多様なビートを束ねるのは主役の江戸っ子気質を反映した威勢のいいマイク捌きだ。ハシシ、JinmenusagiNIHA-Cとのワイルドな肉食系“yrst”は、女子には聴かせられない!? *北野

 

★電波少女/SALU/YOSAをフィーチャーしたPt.2はこちら