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やはり血は争えない? ビートルズの子どもたちのいまを追え!

 父上と同じく音楽業界に身を置く〈ビートルズの子どもたち〉の近況を紹介しよう。まずはジェイムズの新作『The Blackberry Train』にも参加しているダーニ・ハリスンジョージに瓜二つの容貌と声を持ちながら、ニューナンバー2ではエレクトロ・ロックを、ベン・ハーパーらと組んだフィストフル・オブ・マーシーでは西海岸ロックを追求し、我が道を貫いてきた印象だ。しかし、今年に入って音盤化された2014年開催のジョージの追悼ライヴ〈George Fest〉をみずから企画したことで、ついに偉大なる父の衣鉢を継いだ感もある。

2016年のVA『George Fest: A Night To Celebrate The Music Of George Harrison』収録曲“Handle With Care”

 ショーン・レノンはソロ活動の傍らで恋人と組んだゴースト・オブ・ア・セイバー・トゥース・タイガーが評判に。テーム・インパラとも共鳴し、中期ビートルズのサイケ感覚を再解釈したような音作りでジョンの魂を垣間見せた。加えて、ヨーコ・オノ作品をはじめ、主宰レーベルのキメラも順調にリリースを重ねていて頼もしい限りだ。一方、ジュリアン・レノンは2011年のソロ作『Everything Changes』以降、目立った活動がないが、私的にはショーン以上にジョンの遺伝子を濃く継承したアーティストだと思うので、今後の躍進を願いたい。

ゴースト・オブ・ア・セイバー・トゥース・タイガーの2014年作『Midnight Sun』収録曲“Animals”
ジュリアン・レノンの2011年作『Everything Changes』収録曲“Everything Changes”

 

 続いてはリンゴの息子であるザック・スターキー。現在はザ・フーの一員として活躍中で、師匠であるキース・ムーン譲りな力強いドラミングの評価は高く、アリス・クーパーが組んだスーパー・バンド、ハリウッド・ヴァンパイヤーズの2015年作『Hollywood Vampires』でも複数曲に客演(同作には別の曲でポール・マッカートニーも参加)。また、ザックの子どものターシャもみずから結成したベラキスや、今年15年ぶりの新作を予定しているマイ・ヴィトリオールに在籍し、ベースの腕を磨いている。

ベラキスの2011年作『Belakiss』収録曲“Only You”
 

 余談だが、2012年にジェイムズが〈二世バンドを組まないか?〉とみんなに持ち掛け、ダーニやジュリアンは乗り気だったらしい。そんななかザックが頑なに拒否したため、計画は頓挫してしまったとか。でも、前頁のインタヴューを読むと……!? *北爪啓之