INTERVIEW

カナダのハードコア・パンク・バンド、ホワイト・ラングが勢い…だけじゃないモダンな音作り試みた『Paradise』を語る

カナダのハードコア・パンク・バンド、ホワイト・ラングが勢い…だけじゃないモダンな音作り試みた『Paradise』を語る

結婚をきっかけに心機一転! ヴァンクーヴァー出身の爆裂ギャル・バンドが、鋼鉄ノイズで怒りを浄化しながら、カラフルな楽園ムードを打ち出してきた!?

 〈パティ・スミススティーヴィー・ニックスのバカ娘が、ブラック・フラッグのフロントに立ったような……〉とも形容される、カナダはヴァンクーヴァー生まれのハードコア・パンク・バンド、ホワイト・ラングホールL7ビキニ・キルの影響を公言する彼女たちは、ファストで重厚な2014年の前作『Deep Fantasy』でブレイクを果たした勢いを糧に……もとい、ただの勢いだけで次作のレコーディングに臨んだりはしなかった。

 「2016年に作られたってわかるようなレコードを完成させたかったんだ。僕らはいつも、自分たちではまったく似ていないと思うような古いバンドと比較されるからさ。でも何より、どの曲もそれぞれのヴァイブと居場所を持ったものにしたかったんだよ」(ケネス・ウィリアム、ギター)。

WHITE LUNG Paradise Domino/HOSTESS(2016)

 コールド・ウォー・キッズマーズ・ヴォルタ仕事で名高いラーズ・スタルフォースをプロデューサーに迎え、ミッシュ・ウェイ(ヴォーカル)の移住先であるLAにて録音した期待のニュー・アルバム『Paradise』。すべての曲が異なるキーで書かれただけでなく、ハードディスク・レコーディングによって音の切り貼りや加工を行い、MIDIペダルを用いてループを重ね、ギター・サウンドをシンセサイザーのように響かせるなど、この作品では意識的にモダンな音作りを試みたのだとか。さらに、前作のツアーで喉に過剰な負担をかけてしまったミッシュはキーを上げて歌うようになり、そうした変化の有機的な作用がよりキャッチーでブランニューな音世界に結実している。

 「パンク・シーンには〈より良いソングライターになるのはカッコ悪い〉っていう、くだらないアティテュードが存在するの。でも、他のどのジャンルでも、ミュージシャンが進歩したからってファンが彼らを見放すようなことはないわよね!? だって、それは子供が幼稚園を卒園して1年生になったことに対し、親が失望するみたいなものだから。『Paradise』での私たちはこれまでで最高のソングライティングをしているわ。いつまでも幼稚園にいるつもりはないしね」(ミッシュ)。

 また、リリックに注目してみると、フェミニスト・レコードと高く評された前作に対し、いくつかの曲でミッシュのフェミニンな側面が垣間見えるのも興味深い。これには彼女の幸せな新婚生活も大きく影響しているのだろう。

 「私はいまの生活にとても満足しているんだけど、それって曲を作るのには凄く良くないことなの。だから、このアルバムの半分くらいは自分自身から抜け出し、キャラクターに入り込んで作ったわ。そのうちの2曲は有名な連続殺人犯の視点から書いていて、別の1曲は2人の人間が喧嘩をしているシチュエーションね。それ以外にも典型的な恋の寓話を変化させたり、もっと注目されるべきだと感じたニュースを元にして曲を書いたり、歌詞の内容は分裂的よ」(ミッシュ)。

 そもそもホワイト・ラングは主義主張を前面に押し出すタイプのバンドではないが、『Paradise』で確認できる一人の女性としての率直な語り口が、結果的にグループのさらなる進化を促していることは間違いない。

 「ぶっきらぼうで意地悪く、シニカルに書くほうがずっと簡単なんだけど、私は誠実でありたかったし、今回は純粋でハッピーな歌詞に挑戦する必要があった。だから、怒りの感情はあまりない。むしろこのアルバムから広がっているのは、カラフルで、明るくて、綿あめみたいで、飽和気味で、ネオン・サインとグリッターが輝いていて……そんなパラダイスなのよ」(ミッシュ)。

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