NOT WONK
おもしろいことはこっちで起こってる――強烈な宣戦布告から1年、スケール感を増した音像でこの先への期待を高める最注目の新世代!

 

 全国各地で新たなパンク・シーンが少しずつ勃興するなかにあって、もっとも大きな話題を集めているバンドが東京でも関西でもなく、北海道発だったということは象徴的だと言っていいだろう。彼らの名はNOT WONK。苫小牧を拠点に活動する平均年齢20歳の3ピース・バンドである。THE FULL TEENZ生き埋めレコーズのコンピ『生き埋めVA』への参加や、同じ北海道のTHE SLEEPING AIDES & RAZORBLADESとの交流などを経て、昨年5月にKiliKiliVillaから発表されたファースト・アルバム『Laughing Nerds And A Wallflower』には、青い衝動とラジカルな知性が充満し、多くのインディー・ロック好きが熱狂的な反応を示した。おもしろいことはメインストリームではなく、こっちで起こってる――同作は強烈な宣戦布告だった。

NOT WONK Going Back To Our Ordinary KiliKiliVilla(2016)

 そこから1年が経過し、このたび彼らの新作『Going Back To Our Ordinary』が届いた。本作はCDシングルと昨年の全国ツアーのなかから各地でのベスト・テイクを集めたDVDの2枚組。気になる新曲は、彼ららしいリヴァービーな音像がさらにスケール感を増し、力強く駆け抜けていく“This Ordinary”と、ミッドテンポの音数を絞ったアンサンブルながら、細かく刻み続けるドラムのアプローチが先鋭的な“Don't Get Me Wrong”を収録。ベタな感想ではあるが、前者が立ち上げる雄大な風景はまさに北の大地を思わせるもので、もうここまでの表現力を身に付けたのかと驚かされる。また、2週間のスパンで送り出された7インチ『DisOrdinary』には、上記の2曲に加え、“This Ordinary”を再構築し、フレーミング・リップスの“Race For The Prize”を思わせる昂揚感たっぷりのアレンジに仕上げた“DisOrdinary”を収録と、こちらも実に新鮮だ。さあ、どこまで行けるか。 *金子厚武