スティーヴ・ジャンセンと同じく元ジャパンデヴィッド・シルヴィアンと共に設立したレーベル、サマディ・サウンドからリリースした初ソロ『スロープ』より9年、待望のソロアルバムが発表された。本作にはトーマス・ファイナーティム・エルセンバーグ、元マンダレイニコラ・ヒッチコックらがゲスト・ヴォーカリストとして参加している。美しい旋律と曖昧模糊とした楽曲構成が同居した、スティーヴ・ジャンセン特有の感性が全編に渡り貫かれており、この耽美的サウンドは他では体験出来ない唯一無二の世界。チェロで徳澤青弦も参加し、インスト楽曲でアルバムに物語性を加えている。

 


もはや〈元ジャパン〉 という形容も不要であろうドラマーの、9年ぶりとなる2枚目のソロ作。3人のゲスト・シンガーがそれぞれ魅惑的なパフォーマンスで華を添えているが、やはり周到に作り込まれた奥深いトラックこそが要。前作のエレクトロニカ路線を緩やかに継承しつつ、よりリリカルな静謐さとストイックな緻密さを研磨した音響が、物憂くも澄み切った緊張感を持続させながら独特の美的空間を構築している。