13年ぶりの新譜。84年にビル・ラズエルのプロデュースで初のアルバムをリリースしたサクソフォン奏者の沢井原兒。久しぶりに本人の思うところが届いた。おそらく即興演奏をベースにマッシュアップしたであろうトラックは、本人のサックスを筆頭にどれも隅々までピチピチに尖った、張り詰めた音がつん裂く。漢字一文字が当てられた曲のタイトルは、その音の佇まいを端的に表す。サポートするミュージシャンは、沢井の沈黙の期間にジャズシーン、即興シーンで活躍してきた今やヴェテランに属する音楽家たちだが、世代のギャップのようなものは聴こえず、しかしどちらが寄り添ったわけでもない、淡々と凛々しい演奏が繰り広げられる。