明治時代(1900年代)から近年のレコード・ブームまで、当事者の取材や文献をもとに、約450ページに及ぶヴォリュームで歴史に迫った本書。かつては1日のノルマを課してレコ屋に足繁く通い、“レコードを探すなレコード屋を探せ”とまで言い放つ著者が、その愛情を滲ませ綴る体裁は、単なるドキュメンタリーには終わっておらず、特に老舗店の店主らへの取材は、当時の時代背景も交えたエピソードが散りばめられ、各人のキャラクターまでに浮き彫りにさせている。実際のお店を知っているとより楽しめるだろうが、雑学的な情報も盛り込まれているし、何より読み物としても楽しめる内容になっている。