80年代の重要作もいよいよ復刻! イタリアの奇才が過去と現在から紡ぐ伝説は進行形だ!

 ビョークNujabesによる“Clouds”のサンプリングで知られ……という前置きももう要らなくなるほど、一時のカルト人気を超えて名前の立つ存在となったイタリアのアンビエント作家、ジジ・マシンアレッサンドロ・モンティとの『The Wind Collector』(91年)が年頭に初復刻されたのも記憶に新しいなか、4月には一連の再評価を促す契機となった2014年の編集盤『Talk To The Sea』が日本盤仕様で再登場している。

GIGI MASIN Talk To The Sea Music From Memory/ritmo calentito(2015)

 こちらはオランダのミュージック・フロム・メモリーが編纂したもので、86年の初作『Wind』と89年の『Les Nouvelles Musiques De Chambre』、そして先述の『The Wind Collector』というレアな3枚からのチョイスに未発表曲も加え、入門編であると同時に、初期の決定盤と呼んでも差し支えないアンソロジーだ。

 

GIGI MASIN Wind The Bear On The Moon/SUBURBIA(1986)

 ……のだが、そんなタイミングで、今度はその初期2作の単独CD化までもが実現。まず86年の『Wind』はECM作品やイーノゴンザレスにも通じるピアノ・アンビエント集で、時代が違えば普通にバレアリックな室内楽として受容されていたであろうもの。ハナからレアな皿だけに数々のボートラも貴重どころじゃない。

 

GIGI MASIN,CHARLES HAYWARD Les Nouvelles Musiques De Chambre Volume 2 Sub Rosa/Pヴァイン(1989)

 一方、89年作『Les Nouvelles Musiques De Chambre Volume 2』はチャールズ・ヘイワード(元ゴングディス・ヒート)とのスプリットで構成された変則的な一枚で、“Clouds”のオリジナルを含むA面の8曲をジジが、20分に及ぶ大曲のみのB面をチャールズが担当している。

 

TEMPELHOF & GIGI MASIN Tsuk Hell Yeah/calentito(2016)

 さらに、時を同じくして同郷のテンペルホーフと組んだバレアリック~チルアウトな新作『Tsuki』も到着。この季節に打ってつけの心地良い脳内リゾートへ、いざ。