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KC AND THE SUNSHINE BAND
TKの絶頂を導いた最強のパーティー集団

 ここ数年で〈ディスコ〉はポジティヴな用語として返り咲いた感もあるが、そうなる前は懐メロ的でかっこ悪い言葉でもあった。で、そうした往年のノリを象徴するのが、このバンドの“That's The Way(I Like It)”だ。知られすぎたがゆえに陳腐に捉えられ、売れすぎたせいで何となく軽視されている。KC・アンド・ザ・サンシャイン・バンドはそんな存在と言っていいかもしれない。

 

 ただ、人種混成の編成とキャッチーなソングライティングによってファンクやラテン、カリビアンなどを豪快に融合した彼らは、実にTKらしいミクスチャーなパーティー・バンドであった。73年にフロリダ州ハイアリアで結成されたこのグループは、レコード店などで働いていたKC(ハリー・ウェイン・ケイシー)と、エンジニアのリチャード・フィンチが出会って誕生している。裏方仕事も行いつつ翌年にTKからデビュー。徐々に人気に火が点き、75年には“Get Down Tonight”が初の全米1位に輝く。その後1年のうちに件の“That's The Way(I Like It)”と“(Shake, Shake, Shake)Shake Your Booty”が続き、1年で全米No.1を3曲輩出するというビートルズ以来の快挙も達成。彼らの快進撃はTKをかつてない絶頂へと押し上げ、それはディスコ・ブームの大きな位置を占めることとなった。

 奇しくも80年代初週の全米1位曲となる“Please Don't Go”(79年)まで続くも、そこからは失速。ブームが終わっていく状況下にあって、享楽的なディスコの権化たる彼らは槍玉に上げやすい名前だったのだ。結果、TKの倒産に伴って彼らはエピックに移籍し、KCのソロに近い状態へと移行。82年にはシンセ・ポップ調の“Give It Up”で初の全英1位を獲得するも、85年にKCが引退を表明してバンドは消滅する。……が、90年代に入ると復帰したKCはバンドを再編。誰もが知る楽曲の数々を活かし、現在に至るまでマイペースに活動中だ。 *出嶌孝次