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FOXY
レーベル後期を賑わせた狐たち

 お抱えのスタジオ・ミュージシャンたちが集められたバンドという意味ではKC・アンド・ザ・サンシャイン・バンドの面々と成り立ちは近く、実際にその勢いを受け継ぐべく若手の腕利きたちによって組織されたのがフォクシーだ。革命後に渡米してきたキューバ移民のイッシュことイシュマエル・エンジェル・レディスマ(ヴォーカル/ギター)を中心に、アーノルド・パゼーロ(ベース)やジョー・ガルドー(ドラムス)、リッチー・プエンテ(パーカッション/ギター)らが名を連ねたこの6人組(当初)は、76年にTK傘下のダッシュからデビュー。なお、リッチーはティト・プエンテの息子である。そんな血統もあってか先達以上に軽妙なラテン・ファンクを持ち味としたフォクシーは、78年のセカンド・アルバム『Get Off』から表題曲をR&Bチャート1位(全米9位)に叩き込み、一気にブレイクを果たす。“Get Off”における〈フーフー〉と脳天気な掛け声が、後のさまざまなダンス・ミュージックに波及しているのは言うまでもないだろう。

 

 79年には『Hot Numbers』と『Party Boys』の2タイトルをリリース(さらにイッシュのソロ作『Ish』もこの年に出ている)。ファンキーなインパクトを誇る表題曲がチャートで成功した前者に対し、後者は商業的には不発となってしまうが、イッシュのニューウェイヴ趣味とアイアート・モレイラを招いた本気のラテンなどが混在するロッキッシュでパーカッシヴなノリには一聴の価値あり。その後は新曲を含むライヴ盤『Live』(80年)を発表するも、TK自体の失速もあって81年に解散。いまとなっては時代の徒花のような扱いでもあるが、世界初CD化のブツも含め、この機会に彼らの真髄を堪能していただきたい。 *出嶌孝次