タワーレコード限定! バルトーク“コントラスツ”世界初CD化も!

 1990年4月15日、オーチャード・ホールでヘッツェル率いるウィーン室内合奏団公演を聴いて以来、筆者はウィーン・フィル・メンバーによる室内楽録音を新旧構わず集めてきた。90年代後半にはCD化も進み、ライブラリーが一挙に充実した半面、いくつか残念な点もあった。(1)初出LP時のカップリングが変えられ、制作意図が判らなくなった盤があること、(2)収録時間の都合で珍しい曲がカットされた盤があること、(3)現在入手困難な盤が増えていること、などである。

 今回〈ウィーン・フィル室内楽名盤選〉を企画するにあたり、この3点を考慮して曲目選定した。まずウィーン八重奏団によるモーツァルト/ディヴェルティメント集。名盤として知られながら入手難だった第17番K.334をメインとし、野外演奏を目的に作曲された第7番K.205では初出LP通り行進曲K.290を前後に配し、楽隊の入退場の演出を復活した。

 次にウィーン・ムジークフェライン四重奏団の二組。モーツァルト集ではまだ20代だったリーダー、キュッヒルの清新な演奏をより長く楽しんで頂くため三重奏、二重奏も収録。ロマン派作品集では世界初CD化となるコダーイとスークの四重奏を加えた。

 ウェラー四重奏団の『モーツァルトのカルテット・パーティ』は、1784年、ハイドン、ディッタースドルフ、モーツァルト、ヴァンハルという4人の作曲家がカルテットを組んだ記録をレコード上に再現したもの。今までバラバラにCD化されていたものを1枚に収め、オリジナル・ジャケットも復活した。

 そしてウィーン室内合奏団のDG録音集成。ヒンデミットのクラリネット五重奏曲、ハイドンのフルート四重奏曲集、そしてウエストミンスター・レーベルにある名手プリンツによるバルトークの“コントラスツ”を世界初CD化で加えた。

 総じて演奏水準は高く、録音状態も良く、ウィーン・フィル・ファンのみならず、多くの愛好家の方に聴いて頂きたいと思う。