INTERVIEW

ソプラノ歌手の浜田理恵が語る、言葉遊びをテーマに「不思議の国のアリス」の裏側描いた公演「言葉は歌い、音楽は語る」

ソプラノ歌手の浜田理恵が語る、言葉遊びをテーマに「不思議の国のアリス」の裏側描いた公演「言葉は歌い、音楽は語る」

言葉は歌い、音楽は語る

 『言葉は歌い、音楽は語る』という公演タイトルからして「???」と謎だらけ。第1部のプログラムはサティ《帽子屋》、プーランク《ハートの女王》など、浜田が得意とするフランス歌曲だが、ユニークな曲目。「じつは第1部はメインの第2部への前菜なのです」

 メインディッシュという第2部は、三ツ石潤司氏作曲の音楽遊戯『アリスの国の不思議』。この公演のために書かれた新作で、世界初演である。

 「ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を題材にしていますが、これまでのアニメや映画、バレエなどで描かれてきたファンタジックな世界観とはまったく違います。今回は、アリスの中に頻繁に登場する巧みな“言葉遊び”がテーマ。あの言葉遊びは、当時流行していた詩や慣用句がモチーフで、有名な《チェシャ猫》や《代用ウミガメのスープ》なども言葉遊びのひとつです。ルイスは本名(チャールズ・ラトウィッジ・)ドッジソンという数学者。私や三ツ石さんのように日本とヨーロッパの狭間で、他国の言語、習慣、あらゆる文化を必死に咀嚼し消化してきた者からは、ドッジソンのエキセントリックな面と、作品の裏側にあるストーリーを感じます。その裏側の面白さを描いたのがこの『アリスの国の不思議』。三ツ石さんはもちろん、現代音楽もお作りになりますが、この作品では難解で複雑な音楽ではなく、“聴いて帰るお客様が、閉演後にも口ずさめるような、シンプルで心に残る、美しいフレーズを書いてください”と、お願いしました。音楽にはさまざまな時代の作曲家のスタイルが織り込まれて、聴くと“お! これは!?”と思う瞬間があるはずです。ただ、このような作品はややもすれば単なるパロディーになってしまう。エンターテインメント作品としてどこまで高められるか、そこは演奏家にかかっていると思うので、私も共演の晴雅彦さん(バリトン)も命がけでやります(笑)。きっと、みなさんが今までにみたことがないアリスになることは間違いありません。」

 みたことがないアリス…だから『アリスの国の不思議』。なるほど、先の公演タイトルにも言葉遊びが組み込まれていたのだ。

 シェフも一流、素材もピカイチ、だけど皆さんが食べたことがない『アリスの国の不思議』。さて、どんなメインディッシュになるのだろう? 妙にわくわくするではないか。NO MUSIC, NO LIFEを自負する、人一倍音楽食いしん坊の我々としては、やはり食べてみたい……いや、聴いてみたい。

 


LIVE INFORMATION

プラチナ・シリーズ第2回「浜田理恵 ~言葉は歌い、音楽は語る~
○9/22(木・祝)15:30開場/16:00開演
出演:浜田理恵(S)三ツ石潤司(compose, p)晴雅彦(Br)中村真美(cl)山本直輝(vc)
曲目:サティ:ダフェネオ/帽子屋 プーランク:セー/パガニー二/「くじびき」より [なんと驚くべき出来事!/ハートの女王/水差しの赤ちゃん/バブビボビュ ほか]
三ツ石潤司:音楽遊戯「アリスの国の不思議」【新作初演】~ルイス・キャロル作「不思議の国のアリス」より~(構成:久野麗
会場:東京文化会館 小ホール
http://www.t-bunka.jp/

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