STILL GOLD
耳で聴いたピープル・トゥリー
鈴木雅之をめぐる音楽の果実は、ここに一本のトゥリーを生んだ

ゴスペラーズ 『GOSWING/Recycle Love』 キューン(2016)

北山陽一が復帰して、このニュー・シングルを発表したばかりの5人。もともと佐藤善雄(ラッツ&スター)のプロデュースで世に出ただけあって縁は長いが、鈴木ともいまや世代を超えた同好の士であり、楽曲提供やユニット活動などを通じて交流を深めている。リーダーのサングラスも継承されているのか(?)。

 

今回の再会から30年前、鈴木のソロ・デビュー作で2曲を書き、その数か月後に自身のデビュー・シングルを発表した久保田(つまり彼もデビュー30周年!)。もともとシャネルズと同じコンテストで評価された共通点もあるが、80年代から日本でブラック・ミュージックの歌唱表現やトレンドを表現に咀嚼してきた双璧であることは言わずもがな。

 

Skoop On Somebody 『SING+DANCE』 ソニー(2016)

ドゥワップとゴスペルという背景の違いこそあれ、黒い音を親しみやすい歌にして届けてきた点で共通するユニット。別掲のトリビュート盤で“FIRST LOVE”を歌ったり、『Champagne Royale』に参加した縁もあって、現在は〈SOUL POWER〉の同志に。鍵盤奏者のKO-ICHIROは鈴木のツアー・メンバーも務めている。

 

VARIOUS ARTISTS 『The 50th Anniversary Collection Of Sunny』 Trocadero(2016)

ひとつのアーティストを挙げてどうこう言う話でもないが……この50周年記念盤が出ていたのでご紹介。ボビー・ヘブの名曲“Sunny”(66年)と、JBやエラ、ウィルソン・ピケットらによる多様なカヴァーを満載した全曲“Sunny”のコンピです。マーチンも『Soul Legend』で歌っているし、比べて聴くのも楽しいはず。

 

THE VELVETS 『The Complete Velvets』 Ace(2015)

ひとつのアーティストを挙げてどうこう言う話でもないが……彼のルーツ最根源にありそうな楽曲の例としてこのテキサス産グループを推薦したい。マーチンもライヴで披露していた“Tonight(Could Be The Night)”は典型的なドゥワップとして日本でも人気を博した61年の世界的なポップ・ヒット。幼い頃から聴いてたのかも?

 

オリジナル・ラブ 『ラヴァーマン』 WONDERFUL WORLD(2015)

ダンディーといえば……ってことで、『Shh...』に逸曲“ソウルタトゥー”を提供していたのが田島貴男。オリラブ繋がりでは『Champagne Royale』のアレンジに小松秀行が参加していたり、マーチンによる“接吻”のカヴァーもあったが、いまの2人による伊達な手合わせも聴いてみたいところだ。

 

大滝詠一 『A LONG VACATION』 ソニー(1981)

デビュー前から目をかけ、鈴木にとっては師匠にして兄貴分のような存在だった大滝。本作では“FUN×4”にシャネルズが少しだけ声を挿入し、以降も“Tシャツに口紅”や“夢で逢えたら”を手掛けたが、ソロでガッチリ組むことがなかったのは惜しまれる。新作中の“エンドレス・ジャーニー”は終わりのない敬意の表明でもあるのだろう。

 

MORRIS DAY 『Daydreaming』 Warner Bros.(1987)

ひとつのアーティストを挙げてどうこう言う話でもないが……このモーリスだけは違う、そうじゃない。リリースから間を置かず本作収録の“Are You Ready”をライヴで歌っていたり、ステップや仕草などショウマンシップに溢れたステージングがまさに! 同時代に活動する同世代として影響を受けてきた存在と言えましょう。

 

クレイジーケンバンド 『香港的士』 ユニバーサル(2016)

横浜から駆けつけた横山剣が作詞/ヴォーカルで参加した“TOKYO べらんめえ SOUL”は、ラヴソングの並ぶ『dolce』にあっては異色のやる気まんまんチューン。経てきた文化も近い同世代だけに、瀟洒な音楽性もラッツ&スターに通じる部分はあるはず。なお、この東洋一のサウンドマシーンも来年で結成20周年だ。

 

VARIOUS ARTISTS 『SUZUKI MANIA DELUXE』 エピック(2015)

2004年の『SUZUKI MANIA』を新装したトリビュート盤。BENIや怒髪天×SCOOBIE DO、シェネルに、ゴスペラーズ、Crystal Kay、クレモンティーヌ、AJI、PUFFYら多彩なアーティストが、グループ時代/ソロを跨いでマーチンの曲をそれぞれにカヴァーしている。達郎ナンバーとなる“Guilty”を小田和正が披露していたり、いろいろ豪華な一枚。