INTERVIEW

お祭り娘のFES☆TIVEや、数々の挫折乗り越えて10周年迎えるチャオベラなど、注目のTIF出演アクトの新作を紹介!

【ZOKKON -candy floss pop suite-】 第56回 Pt.2

Hauptharmonie
この楽曲の魅力に、アイドルとして勝ちたい

 アイドル音楽の多様性――例えばメタルを筆頭とするラウドなサウンドは作品やステージをエンターテインさせるメソッドとしてもはやこの界隈のキラー・アイテムになっているけれど、Hauptharmonie(ハウプトハルモニー)の音楽性はかなり異質だ。昨年夏に発表したファースト・フル・アルバム『Hauptharmonie』では、90年代のUKロックやシューゲイザーアノラックバルカン・ビートなど、キャラクターや歌声ありきでイメージを膨らませたバンド・サウンドを背に、アイドルとさまざまな音楽の交わりをコスプレではない世界観から放ってくれていた。

Hauptharmonie Herz uber Kopf 箱レコォズ(2016)

 昨年末にタワレコの箱レコォズに仲間入りし、コンスタントにEPリリースを重ねる過程でメンバーが離脱していくというアクシデントもあったものの、オリジナル・メンバーの寺田珠乃(リーダー)と相沢光梨に、今年2月に新加入した倉木七海茅ヶ崎りこ芹奈莉温という5人組で戦闘態勢に。早速届けてくれたセカンド・フル・アルバム『Herz über Kopf』は、ブルージーなリフをバックに〈アイドル稼業〉のフラストレーションをぶちまけた“BUDDY”で幕を開ける。 ※ピ~ス!久保田

珠乃「これだけ真面目にやってるのになんで裏切られるの?とか、いろいろな思いを曲にぶつけました(笑)」

光梨「セリフがいっぱい入っていて、メンバーが書いた部分もあるので、よ~く聴いてると〈ここ、こんなこと歌ってるんだ〉っていう発見ができるんですよ」

珠乃「Hauptharmonieを始めていろんな種類の音楽があることを知ったし、アイドルがこんな曲をやっていいんだっていうのは今回もたくさん感じました」

七海「他のアイドルさんの曲とか、聴いててカワイイなとか思うんですけど、私の低い声では歌えないんですよね。でも、Hauptharmonieの曲は七海の声でも歌えるというか、〈七海の声、要るやん!〉って思えるから、歌ってて楽しい」

りこ「Hauptharmonieって難しい曲が多くて、そこは好みが分かれるところだと思うんだけど、“パラレルワープ”はライヴでも人気だし、みんな好きになると思う。まだHauptharmonieを知らない人、騒ぎたいオタクにはぜひ聴いてほしい」

 その“パラレルワープ”はベースの効いたエレポップで、他にもパンキッシュなジャズ・ナンバー“Kidnapper Blues~人攫いの憂鬱~”、USオルタナ感全開のギターが唸る“LAST CHANCE(幸福の妨げ)”、さらに「中学生の自分にこれ歌わせるん?って。歌詞に読めない漢字があって調べたら……オイ!みたいな。親の前では歌えない曲」(莉温)というブルース・ロック“Alice in Abyss”、7分近くに及ぶ壮大なシンフォニック・ロック“assuage his disappointment”、「私、踊ることが好きだけど歌がヘタクソなんですよ。この曲は踊りがいっぱいあって、歌に集中しなくてよくて、私……得です(笑)」(莉温)というジャズ・ロック・ナンバー“国王”など、バンド・サウンドならではのエモーションとセンシティヴィティーに溢れた楽曲を満載(トータル66分強!)。こと作品性という部分に関しては三つ星の出来映えだが、それゆえにメンバーたちには、他のアイドルがあまり実感することのない思いもあるようだ。

りこ「音がかっこいいから、曲がかっこいいから……そのぶん、推しのメンバーが卒業したからって来なくなるお客さんは少ないんだけど」

珠乃「個人を推してくれてる方でも、やっぱりHauptharmonieの音楽が好きで追いかけてくれてる感覚というか。もうちょいメンバーの魅力が勝たなきゃなっていうのが課題ではあります。私たちはアイドルっていう意識があるし、楽曲が好きって言ってくださるのはもちろん嬉しいけど、そればかりだと悔しいんですよね」

光梨「うん、音楽に勝ちたいよね、アイドルとして」

 

 

感情は理性を超えたか?――Hauptharmonieの2年間

 Hauptharmonieが公式に始動したのは2014年の7月12日。〈仲睦まじく行儀良く、音楽に遊ぶ〉というキャッチの通り、同年秋と翌年春に重ねた2枚のEPでは、nienuMarmalade Butcher)による初期の代表曲“映ゆ”を筆頭に、清楚な雰囲気を帯びたギター・ポップスカ・ナンバーで個性を見せ、早耳なリスナーの注目を一躍集めました。1周年の節目に届いた初のアルバム『Hauptharmonie』は、佐藤将文UNCHAIN)による“ボウ”や、USオルタナっぽい“Ictus of Sun”など、90年代色の濃いサウンドに童話的な世界観を融和した独自路線を強固にして、高い評価を獲得することになります。

 同年末には箱レコォズからEP『GOLDENBAUM ep.』を発表して新たなステップへ移行するも、今年に入って相次いだ人の出入りも影響してか、5月のコンセプト・ミニ・アルバム2枚はあえて混乱を曝け出すような方向に。前後して、牧歌的な世界を抜け出した〈ハウプト悪モニー〉を名乗っての、がむしゃらな動きも話題になりました。その影響は今回の新作『Herz über Kopf』のカオスな充実ぶりにも明らか。清濁をガブ飲みしてまったく別の楽しさを獲得しつつある彼女たち。TIF後の充電を経ての次なるアクションに大期待です! *出嶌孝次

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