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WHITE ASHのこれまでのQuest

 2006年に結成し、2008年より本格始動したWHITE ASHの初のリリースは、2010年のミニ・アルバム『On The Other Hand, The Russia Is...』。初期アークティック・モンキーズを想起させる挑発的なギター・サウンドと特徴的な発語のヴォーカリゼーションで、のっけから日本人離れした個性を発揮している。2011年には2枚目のミニ作『WALTZ WITH VALKYRIE』を発表。危うい性急さで転がる前作の延長線上にあるナンバーから、アコギ1本の弾き語り曲までと音楽性の幅を拡張すると、2012年には初のフル・アルバム『Quit or Quiet』を上梓する。ここで不敵な色気を持つダンス・ロックのひとつの集大成を築き、2013年にはシングル“Velocity”でメジャー・デビュー。同年のうちに届いたアルバム『Ciao, Fake Kings』ではラテン・ムードの楽曲や聖歌のようなコーラスを挿入したラヴソングといった新たな方向性も提示してみせた。

2013年のシングル“Velocity”
 

 2014年に入ると、まずは2月のthe pillowsのトリビュート盤『ROCK AND SYMPATHY -tribute to the pillows-』にバンド名の由来である“White Ash”のカヴァーで駆け付け、翌月にはヒップホップ以降のビート感覚やある種の黒い意匠を採り込んだ3作目『THE DARK BLACK GROOVE』をリリース。2016年は、1月にブルーハーツのリミックス&カヴァー集『THE BLUE HEARTS re-mix re-spect』で甲本ヒロトのバックをWHITE ASHが務めたような“スクラップ”を披露すると、3月には4枚目のアルバム『SPADE 3』が登場。〈ロック・バンドの衝動〉に立ち返って重く太いアンサンブルを繰り出すなか、チェロをフィーチャーしたソフト・サイケなミディアムなどの新味も。また、今回のニュー・ミニ・アルバム『Quest』の前にはディズニー楽曲のロック・カヴァー集『ROCK IN DISNEY ~Season Of The Beat』も控えており、ここでは“If You Can Dream”へのアプローチを耳にすることができる。 *土田真弓

『SPADE 3』収録曲“Blaze”