昨年、3年振りのアルバム『旅人のうた』(KICC-1150)をリリースした天満敦子。1年振りの新作は“無伴奏の調べの宝庫”。1曲目のバッハ《アダージョ》の哀愁漂う響きは、まるで天にも昇る美しさ。我を忘れて終始聴き入ってしまう。その格別さは《鳥の歌》、和田薫が彼女の為に作曲した《譚歌五色》と続いてゆく。繊細で透明感溢れる音色。彼女にしか表現できない世界が広がっている。ラストを飾る《花は咲く》にも心奪われる。今の時代だからこそ、天満敦子の奏でる音を聴いて欲しいと切に願う。本作はある意味ベスト盤といっても過言ではない。