INTERVIEW

鬼才作曲家・西村朗&野平一郎、互いへのリスペクトあってこその自己主張が生んだ共作コンサート「作曲家の個展 II」を語る

野平一郎、西村朗
 

鬼才の音宇宙、共作・ピアノ協奏曲に重なる個性

 ふたつの才能が出逢い、融け合い、渦巻き……星雲同士が衝突するような驚きを味わうコンサートになりそうだ。1981年から開催されてきたサントリー芸術財団コンサート〈作曲家の個展〉がリニューアル、今夏からふたりの作曲家による〈作曲家の個展 II〉となって再出発。その初回は個性豊かなヴェテランふたり、西村朗野平一郎がそれぞれ新作を発表する……だけではなく共作も発表するというから驚きだ。題して〈ピアノ協奏曲《クロッシングA・I》〉。西村いわく「Aは朗[あきら]、Iは一郎、まぁ愛の交差ですな(笑)」というタイトルに作曲の仕掛けも表されている。「第1楽章はピアノ・パートを僕が、オーケストラ・パートを野平さんが書く。カデンツァ的な第2楽章はそれぞれがソロの断片を書き、演奏の組み合わせはソリストに委ねられます。第3楽章は逆に野平さんがピアノ・パートで僕がオケ」

 両端楽章の作曲にあたっては、それぞれが書いたソロ・パートの楽譜を相手に渡し、管弦楽を書き加えていくわけだ。

西村「だから第1楽章冒頭がどう始まるのか僕はまだ知らない(笑)」

野平「西村さんの作品は僕も随分弾いて来てよく分かっているのですが、どうやったらそこに自分の世界を重ねられるか、面白いチャレンジでした。西村さんの世界に従属するところと対立するところと、当然出てきますよね」

西村「僕もピアノがある部分に管弦楽を書くときは従順な犬みたいになってるんですけど(笑)それ以外では噛みついたりして。それぞれが自己主張しつつまとめるので、スリリングでもあるし、一人の作曲家ならそうは書かないだろうという世界が確実に出て来る。お互いにリスペクトがないと出来ないですよ(笑)」

 演奏会前半では、それぞれの新作も初演される。野平一郎〈管弦楽のための《時の歪み》〉は「共作の協奏曲と意識的に絡ませた作品です。自分が書いたピアノ・ソロの幾つかの部分をオーケストラにもってきて、時間的に引き延ばしてみたり縮小してみたりと歪ませている」

 西村朗の新作〈液状管弦楽のための協奏曲〉は「縦横の立派な建物のような管弦楽ではなく、ジェルとウォーターの中間のような……羊水やインド神話にある乳海に近いイメージ。生命体のような旋律が重力から開放された柔らかい動きをもって、あるところで起きたことが液状の中を伝播してゆく……」

 ふたりの個性が拡張してゆく音宇宙、新鮮な驚きを体感したい。

 


サントリー芸術財団コンサート
作曲家の古典II

西村朗 × 野平一郎

指揮:杉山洋一
ピアノ:野平一郎
管弦楽:東京都交響楽団

10月28日(金)東京・サントリーホール
18:00 開場/19:00 開演
プレコンサート・トーク  18:20~
全席指定:S席 4,000円 A席 3,000円 B席 2,000円 学生席 1,000円(税込)
お問い合わせ・予約:東京コンサーツ  TEL 03-3200-9755
www.tokyo-concerts.co.jp

関連アーティスト
40周年プレイリスト
pagetop