INTERVIEW

僕たちが踊れる場所をこの街で増やすために―never young beachと語る、〈MACHIKADO FES.〉のインディーな魅力と可能性

〈MACHIKADO FES. 2016〉

 (左から)安部勇磨、鈴木健人
 

9月10日(土)と11日(日)に群馬・桐生の小平の里キャンプ場で開催される〈MACHIKADO FES. 2016〉は、日本のインディー・ロックに関心を持つリスナーならば、注目しておくべきイヴェントだ。2013年からスタートした同フェスは、インディー・シーンの〈いま美味しいところ〉を揃えており、3回目にして初の2日間開催となる今年も、連続出演となるnever young beachフジロッ久(仮)踊ってばかりの国を筆頭に、HomecomingsNOT WONKDYGLら目覚ましい活躍を見せているバンドがずらり。またSuueat.すばらしかといった早耳のリスナーを騒がせている新鋭、バンド以外でもシンガー・ソングライターの柴田聡子が出演するなど、実に魅力的なラインナップになっている。桐生近郊の音楽好きな若者たちによって運営されていることが、その目利きっぷりに貢献しているのだろう。

Mikikiの推しているラインとも、妙に親和性の高い同フェスに、興味を持たずにはいられない! というわけで、今回は主催メンバーの岡田圭史片山翔太、そして今年も出演するnever young beachの安部勇磨(ヴォーカル/ギター)、鈴木健人(ドラムス)を迎えて話を訊いた。

 

この場所でどこまで楽しくやれるかというのを大事にしています

――安部さんは〈MACHIKADO FES.〉の皆勤賞というか、2013年の初回には夢見てる、2015年からはnever young beachで出演されていて。鈴木さんもネバヤンで2年連続ですよね。桐生という街や〈MACHIKADO FES.〉への印象は?

安部勇磨(never young beach)「えーとね、山や川があって」

片山翔太「ハハハ(笑)」

鈴木健人(never young beach)「自然が豊か」

安部「僕は東京に住んでいるから、それだけで〈良いな〉となって楽しい。あと、これは完全に良い意味で言いますけど、〈MACHIKADO FES.〉にはあんまり人がいないんですよ」

一同「ハハハ(笑)!」

安部「これ赤字なんじゃないか、という感じなんですけど、その雰囲気が僕は好き。のんびりしているんですよね。あと楽屋がコテージだから、すごくゆっくりできる。だから僕はこの〈MACHIKADO FES.〉が人いっぱいになってほしくない(笑)。でも出演者はカッコイイ人がいっぱい出てほしいから、難しいところなんですけどね」

片山「安部ちゃんはいつも会場内で遊んでくれているよね」

安部「他のフェスだと、お客さんがワーッと寄ってきたりもするんですけど、〈MACHIKADO FES.〉のお客さんは放ったらかしにしてくれる感じがすごくラクで」

鈴木「斜面に座って、ライヴもゆっくり観られるんだよね」

安部「傾斜があるから、後ろからでも見える」

鈴木「横になっても観られるもんね」

安部「そうそう。そうやって観た去年の踊ってばかりの国のライヴがめちゃくちゃ良かった。自然のなかで聴けて、すごく気持ち良かったんです」

踊ってばかりの国の2016年のライヴ映像
 

――そもそも岡田さんと片山さんは、なぜ〈MACHIKADO FES.〉を立ち上げようと思ったんですか?

片山「(岡田)圭史は当時23歳くらいで、バーで働いていたんだよね。そこで桐生をどうにかしたいともがいてた」

岡田圭史「とにかく街にもバーにも人がいなさすぎて、ヤバいと思ってたんです。もう震えが止まらなくなるくらい(笑)」

――そこで人を集めるにあたって、音楽フェスティヴァルの開催を選んだ理由は?

岡田「(足利を拠点に活動する)CAR10とは高校生の頃からの友達なんですけど、俺もずっとバンドをやっているんです。だから、音楽しかないなって」

※CAR10の川田晋也らと、今年の〈MACHIKADO FES.〉にも出演するSuueat.として活動

 Suueat.の2015年の楽曲“katteni siyagare”
 

片山「僕は圭史に誘われたんです。こういうイヴェントがしたいから、ブッキング面で携わってくれと。圭史は街のことをいちばんに考えているんですよ。街の有名人でもあって、桐生の両津勘吉みたいな(笑)」

岡田「すげえ狭いからね。だからお店をやっていると繋がっちゃう。でもその人たちが〈MACHIKADO FES.〉に来てくれているわけじゃない」

――桐生には、ライヴハウスもいくつかあるんですか?

片山「ライヴハウスが1つと、クラブが2つあります」

――そのライヴハウスには、このフェスに出演するようなバンドがツアーで来ることもあるんですか?

岡田「ないよね」

片山「高崎にはたまに来るんだけど」

岡田「この街は皆無だよね」

――そういう状況だと、こういったラインナップで地元の人にアピールするのはなかなか難しいですよね。

片山「そうですね。ただ、どう見られるかと言うよりは、自分たちがこの場所でどこまで楽しくやれるかというのをいちばん大事にしています。とにかくおもしろいことをしようと」

岡田「うん。それしか考えてないね」

片山「でも、それが本当にカッコイイという自信があるから、やっていてもすごく楽しい」

 

――2013年の初回は、夢見てるを筆頭にフジロッ久(仮) やザ・なつやすみバンドなど、2015年の2回目は、ネバヤンにCAR10、ラッキーオールドサンらが出演していて。毎年インディー・シーンのおもしろいところを押さえている印象だったんですけど、今年はさらにそれが加速したように思いました。2015年時のオフィシャルサイトには、出演者について〈東京で開催してもおもしろいと思える組み合わせを心がけた〉と書かれていましね。

片山「やっぱりそれをやらないとつまらないじゃないけど……」

岡田「むしろそれしかできなかった(笑)」

片山「そもそも自分たちが好きじゃなかったら呼ばないし」

岡田「だって好きじゃないのに〈お願いします〉なんて、意味がわからないじゃないですか」

片山「自分たちがおもしろいと思うかどうか、しか尺度がないんです。だからお客さんがあまり来ないのかもしれない(笑)。でも毎年、出演者のほとんどがそれまで群馬で演奏したことがないバンドではあるんですよ」

――前回来たお客さんには、どういう感じの人が多かったんですか?

片山「ネバヤンを観ていた人はめっちゃ多かった」

安部「たぶん地元の若者たちだったよね」

――じゃあ地元の音楽好きな若者が集まってきた?

片山「そうですね。客層的にはそこがいちばん多いと思います。東京から来てくれる人もちょこちょこいますけど、そんなに多くはない」

――〈MACHIKADO FES.〉でネバヤンを観た地元の人たちは、またネバヤンを観たいと思ったら東京のライヴに行くという流れはあるんですかね?

片山「どうなんだろう(笑)」

岡田「そう繋がればいいけど」

安部「確かに繋がればいいけど、僕らとしては全然繋がらなくてもいいやって感じですね。あの場で楽しんでくれていたらそれで良い。無理矢理〈東京に来て!〉と言うつもりもないし」

never young beachの2016年作『fam fam』収録曲“fam fam”
 
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