SERIES

【D.J.FulltonoのCrazy Tunes】Vol.12 日本のシカゴ・フットワークのパイオニア、TAKUYA aka LiL HaVoCが見つめる理想の未来

Page 2 / 2

ホンモノかそうじゃないか

――日本のフットワーク界のパイオニアはTAKUYAさんとWEEZYさんとのことですが、始めたいきさつとしてはWEEZYさんとはまったく別の流れで?

TAKUYA「そうですね、まさにこの動画の〈Wickedpedia Rendez-vouz〉(2012年)でWEEZYと初めて会いました」

Fulltono「初めてみんなの前で披露した時ですね」

TAKUYA「全然シカゴ・フットワークじゃないっていう(笑)。これはちょっと恥ずかしいっすね、ハハハ」

Fulltono「2人がバトル的なことをしたのかな。WEEZYは最初からバトルが好きだったよね(笑)」

TAKUYA「そうっすね(笑)」

2016年の〈杯音圏 SHAPE YOUR CITY〉でのTAKUYAとWEEZYのバトル
 

――あと、TAKUYAさんもがっつり絡んでいる〈Battle Train Tokyo〉(以下、BTT)についても訊いてみたいんですが、参加する人も増えていると思いますし、トーナメントだけではなくレッスンもやるようになっているからか、これまでよりも裾野は広がっているような気がしています。ご自身の実感としてはいかがですか?

※本連載の〈番外編〉としてレポートもしたフットワーク・バトル・トーナメント。月イチでTAKUYAやWEEZY、YAMATOが講師を務めるフットワークのレッスンも行われている

TAKUYA先生のBTTでのレッスンはこんな感じ
 

TAKUYA「レヴェルは上がってきてると思うし、そういう面ではいいと思うんですけど、BTTの趣向も変わってきていて、なんて言うのかな……お客さんが何を観たいのかがわからなくなってきちゃって。オーディエンス・ジャッジはおもしろくていいんだけど、海外の意見を聴くと、やっぱり目が育っていないうちはオーディエンス・ジャッジってどうなの?というのもあったりして」

今年6月に行われたBTTトーナメントの決勝戦。初の女性チャンピオンが誕生した回
 

――確かにそれはありますよね……。また、レッスンを始めたことの効果についてはどう思いますか?

TAKUYA「ダンサーが多く集まるようになったのは良いのですが、やっぱりホンモノが少ないというか、フットワークをやっているけど、それはホンモノではないんじゃないか……と思うことがあるので、そういう部分も今後教えられるといいなと思ってます。

――ホンモノではないというのは、具体的にどういう点でそう思われますか?

TAKUYA「シカゴ・フットワークの基本ムーヴをやっているからといって、それがシカゴ・フットワークであるとは思っていないですし、ジュークに合わせて踊っているからシカゴ・フットワークというわけでもない。これっていうのはないんですけど、観ればすぐにわかるんですよ、〈シカゴ・フットワークだね〉というのと〈シカゴ・フットワークの動きをしているね〉というのは違うんです。それがホンモノかそうじゃないかの違いかなと思っています」

――ほほ~……これは目を養わないといけないポイントですね。

TAKUYA「単純に衝撃を受けるか受けないかってことなんですけどね。シカゴに行った時は衝撃を受けっぱなしだったんで。この間のBTTトーナメントの映像を観て、まさにそこかなと思いました。僕がフットワークを始めた頃からよくやっていたことなんですけど、自分の練習している様子を映像で観て、その後すぐにシカゴの映像を観るんです。そうすると、やべぇ全然ちげーってなる」

――あ~、なるほど。

TAKUYA「自分を見て、これ全然シカゴ・フットワークじゃねえな、と3年くらい思っていましたが、最近ようやくそれが一致してきたのかなという気がします」

 

〈TAICOCLUB '16〉での経験

――KATA FOOTWORK CLUB(以下、KFC)が結成されたのはいつなんですか?

TAKUYA「結成されたのは2014年の7月です。harukoちゃんというBTTの初回に出場していたダンサーが、KATAで開催しているダンスのイヴェントにフットワークで出てみないかと誘ってくれて。でもチームがないし、ソロでも難しいからな~って言ったら、WEEZYと、あともう一人Emiちゃんという女の子を紹介してくれて、その子と3人で出てみないかと。そこにRikuも加えることになって、KFCが結成されました。イヴェントに出るために1回みんなでやってみようか、というのが始まりですね」

KFCの〈ダンサーズ忘年会 2015〉でのパフォーマンス映像
 

TAKUYA「わ、この動画は初めて観た。ここで使っているトラックが“160 Warriors”っていう俺たちのアンセムなんですけど、俺が作ったトラックに、Fruityがちょっと色を加えていて。ラップも自分で加えたりしました」

七尾旅人とのコラボでも話題となったBoogie Mannや、パッド高速手打ち職人でもあるKΣITOらを擁するジューク・フットワーク・レーベル=SHINKARONのオーナー

――この曲はオリジナルだったんですね! 結構ご自身でトラックを作っているんですか?

TAKUYA「そうっすね、ちょこちょこと。あんまりアップしてないんですけど、貯まったらアップしようかなと」

――へぇ~、楽しみです!

Fulltono「この間の〈TAICOCLUB〉で、トラックスマンのステージにKFCが出た時はお客さんがみんな喜んでいたよね。音楽を聴きに来てる人たちのイヴェントだから、あんなにリアクションが大きいと思ってなかった。あれは嬉しかったね」

〈TAICOCLUB '16〉のトラックスマンのステージでパフォーマンスするTAKUYA
 

TAKUYA「めっちゃ(観客に)指さされましたからね(笑)」

Fulltono「〈あれ、動画でよく観るやつや!〉みたいな(笑)」

TAKUYA「そうそう、最近週1で〈Today’s Footwork〉っていう動画をSNSに上げているんですけど、それで最近は〈動画で観ました〉と声をかけてくれる人が多くなりましたね。〈動画の人ですよね?〉みたいな(笑)」

ある日のToday's Footwork
 

――YouTuber的なノリで(笑)。私もそうですけど、シカゴ・フットワークは一度観たら絶対好きになる、虜になると思うので、観てもらう場をもっと増やせるといいですよね。特に〈TAICO CLUB〉みたいな、いろんな音楽が好きな人が集まっている場所でより広げていってほしいです。

Fulltono「(ダンサーを)シカゴから連れてこないと無理だったのが、日本人ダンサーだけで成立しているというのがすごいことだと思う。トラックスマンは〈日本にはダンサーがいるから大丈夫〉と言ってたし。他の国だったらできない」

TAKUYA「〈TAICOCLUB〉みたいなイヴェントでの活動はもっとしていきたいですね。突発的な感じでやると盛り上がるし、いいプロモーションになるなと」

――〈フジロック〉あたりでぜひやってもらいたい!

TAKUYA「ねぇ、いいと思いますよ。野外はやっぱり盛り上がりがすごいから、こっちもテンションが上がるし」

Fulltono「〈TAICO CLUB〉を観て思ったんだけど、(TAKUYAのパフォーマンスからは)お客さんを煽って、楽しませようという気持ちがすごく伝わってくるなと思って。それはMOP of HEADのライヴでの活動があったからなのかなと思ったんだよね」

TAKUYA「そうですね、完全にそのおかげだと思います。MOP of HEADのライヴで、ステージに上がってよく一緒にやっていたんですけど、踊る以外に何をしたらいいかわからないんですよ。なので、ああしてみよう、こうしてみよう、こうしたらこんなリアクションが返ってきた……そういう経験がライヴの時のアクティングにだいぶ活きていますね」

MOP of HEADの2014年のライヴ映像
 

TAKUYA「この時のライヴはワンマンだったので、ダンサーを増やしたいということでYAMATOと一緒に出たんです」

Fulltono「足は前のほうの人しか見えてないな(笑)」

TAKUYA「フロアの後ろのほうからは足元が見えないから、上半身の動きを大きくしてみたら?って言われて……全然フットワークできねー、みたいな(笑)」

 

〈日本にTAKUYAあり〉なんてもうあたりまえ……のその先

――いまは、どういう気持ちでシカゴ・フットワークに取り組んでいますか?

TAKUYA「いろいろ考えることはあって、日本で流行らせたいというのはあるんですけど、流行らせるというのはやっぱり難しい。もちろん、フットワークをやりはじめた子も出てきているし、ちょっとずつ変わってはきているんです。でもどうせやるなら、みんな……(いろいろと思うところが頭の中を巡っている様子)でも難しいんですよね~。流行りみたいな感じになるといずれ廃れるし、薄い色のままやられても……あんまりおもしろくないのかなと思う。どうせやるなら、みんなにカッコ良くなってもらいたいんです。なので僕は、絶対にカッコ悪いことはしたくないなと思って。そうやっていくと、どんどんアングラな人間になっていくんですよ、ハハハ(笑)。わかる奴だけがわかるカッコイイ人、みたいになりつつあって」

――でもめざしているところは、そういうことじゃないと。

TAKUYA「そうですね……難しいです」

――そういった面での葛藤は音楽も同じだと思うんですけど、やっぱり日本でシカゴのように生活に根付かせるというのは、根本的な部分でとても難しいことですよね。であれば、こういった環境でどう浸透させていくのが理想的なのか、というところかなと。

TAKUYA「いまダンス・シーンではショウがたくさんあるんですよ。さっきKFCの動画で観た〈ダンサーズ忘年会〉はずっとショウで、DJタイムがほぼない。そういうイヴェントが結構あるので、そこにフットワークをやるチームがもっといるといいんじゃないかなと思って。KFC以外にもシカゴ・フットワークのチームが出てきたらおもしろいなと。そうなっていくとダンス・シーンでも確立できるんじゃないかな」

――育成あるのみですか。

TAKUYA「アウトプットをしっかりしていかないとですね。いま、ようやくそういうことを考えられるようになったのかなと。音楽も、最初はクラブでジュークをかけると人がファッといなくなっていたのが、いまはジュークがかかると集まってくるようになった。ダンスに関してはやっと僕がシカゴ・フットワークを理解するようになって、少しずつ人に教えることができるようになっているから、ホントここからですね」

Fulltono「スクールを始めたのも大きいんじゃない?」

TAKUYA「そうですね。代々木BEAT BOXというダンス・スタジオで、週1でシカゴ・フットワークのレッスンをやっていて」

――もっといろんなところで伝える機会が増えていくといいですよね……ということで、そろそろな感じになってきましたが、今日はだいぶ無口なFulltonoさん、最後に訊きたいことはありますか?

Fulltono「〈TAICOCLUB〉での盛り上げ方は、MOP of HEADのライヴでの影響が大きいんだろうね、ということが言いたかった(笑)」

――あ、それが言いたかったんですね(笑)、わかりました。では、ここまではわりとシーン全体の話が多かったので、最後にTAKUYAさん個人がめざすところを訊きたいです。

TAKUYA「日本で生きてくためには、シカゴ・フットワークだけじゃダメだと思うんです。もちろんシカゴ・フットワークは突き詰めるんですけど、他のジャンルの畑で、シカゴ・フットワークという武器を持って倒せるレヴェルに行きたいですかね。どんなジャンルの曲がかかってもフットワークができるようになれたらいいなと。いまはまだジュークという音楽も、シカゴ・フットワークというダンスもそんなに覚えてもらってないし、そんななかでやっても、〈へぇ~そういうのがあるんだ、すごいね、カッコイイね〉で終わっちゃう。だから、別の土俵でやった時に、そういうことではない良いリアクションが返ってくるところまで行きたいですね」

――道場破りですね。

TAKUYA「あとは、ある人に言われたんですけど、〈黒塗りしてシカゴにいたら問題なく扱われるだろうけど、そこじゃないんじゃない? シカゴでも秀でる存在になりたいんじゃないの?〉と。それはそうっす……という感じで。〈日本にTAKUYAあり〉なんてもうあたりまえだと思うし、いまは自分がどんな位置にいてもいいですけど、たまにFacebookで見る、シカゴのトップ・フットワーカー・ベスト5みたいなところに名前が入るといいな」

――日本でどうこうというのではなく、シカゴ・フットワークのなかで天下を獲りたいと。

TAKUYA「そうっすね」

――ぜひやっちゃってください、期待してます!

TAKUYA「がんばります(笑)」

Fulltono「それによって、日本での人気が後からついてくるかもしれないしね。日本の人に本当のフットワークを見せられるだろうし、めざすべきだと思う」

 


~TAKUYAからのお知らせ~

DRILL x IS PAAR
9月4日(日)17:30 open
@東京・KATA + Time Out Cafe & Diner
出演:DJ KENSEIYOUNG-G from stillichimiyaD.J.G.O.BIG BEN from stillichimiya
※ダンサー陣とのコラボによるイヴェントにTAKUYA & EMI(Kata Footwork Club)として出演
★詳細はこちら

ダンス・スタジオ BEAT BOXでのシカゴ・フットワーク・レッスン
毎週月曜日
★詳しくはこちら

BATTLE TRAIN TOKYO
月イチ開催
★詳しくはこちら

 

~D.J.Fulltonoからのお知らせ~

DJ RAFIK Japan Tour 2016
9月3日(土)22:00 open
@大阪・CLUB JOULE
★詳しくはこちら

SOMETHINN Vol.17 -3rd Anniversary-
9月10日(土)23:00 open
@大阪・CIRCUS
★詳しくはこちら

ADOBEのイヴェント〈ADOBE MAX〉にて……
9月2日(金)@東京ビッグサイト

★詳しくはこちら

関連アーティスト
タワーアカデミー
pagetop