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豪華メンバーが盛り上げる大ヒット・コメディ・シリーズのサントラ・スコア盤

 ラッパーで俳優のアイス・キューブが主演をつとめるブラック系コメディ・ムービー・『バーバーショップ』シリーズの最新作は『バーバーショップ: ザ・ネックスト・カット』。監督はマルコム・D・リースパイク・リーの従兄弟にあたる)、アメリカ本国では4月に映画が公開され、初週から大ヒットを記録し、2作目の『バーバーショップ2グッド!』から12年ものブランクを経た新作にもかかわらず、その人気ぶりを再認識させた。キャストにはセドリック・ジ・エンタテイナーショーン・パトリック・トーマスらシリーズのレギュラーの顔ぶれに加え、ラッパーであり俳優としても十分なキャリアを持つコモンが出演、かつてラッパーとしてはライバル同士だったアイス・キューブとのスクリーンでの共演が実現という点も興味深い。

STANLEY CLARKE Barbershop:The Next Cut Sony Classical(2016)

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 この音楽(スコア)を手がけたのがフュージョン系スーパー・ベーシストとして知られるスタンリー・クラーク。これまでも多くのサントラを手がけてきているが、特にマルコム・E・リー監督作品ではほぼ常連。サントラにはバンド・ミュージシャンとオーケストラのメンバーがクレジットされており、注目なのはバンドのピアノ、キーボードとしてロバート・グラスパーが9曲に参加している点だ。なんでもスタンリー・クラークからのオファーでメンバーに加わったという経緯だったそうだが、グラスパー自身もマイルスの自伝映画『マイルス・アヘッド』で音楽監督をつとめている等、このところサントラ関連での話題も多い。なおバンド・メンバーにはベースのウィル・リー、ドラムスのバディ・ウィリアムスらの名もあり、一方オーケストラのメンバーにはベースにジョン・パティトゥッチ、ギターにチャック・ローブなど何気に豪華な人選が見て取れる。本スコアはそんなゴージャスなメンツの演奏で、ファンキーかつドラマティックな楽曲を通して、映画の持つ超エンタなムードを見事に盛り上げている。