以前からヒップホップ好きとして知られるインターポールポール・バンクスと、最近ロックにハマっているというウータン・クランRZAが組んだスペシャル・ユニット。数年間に渡ってじっくり練り上げたアルバムだけに、ここでの両者の絡みは実に濃厚だ。ポールが得意とするダークウェイヴ調のサウンドや耽美的なヴォーカル、RZAらしい劇画チックなラップなど、それぞれの持ち味を活かしながら〈何でもあり!〉の精神性が迸る。ポール人脈からフローレンス・ウェルチ、RZA人脈のクール・キースゴーストフェイス・キラーメソッド・マンほか、ゲスト陣が各々持ち前のキャラクターを発揮しまくり、さまざまなヴェクトルを持つコラボ・コンピ大作といった趣でも楽しめる。とりわけフロウ・ライダー風の取っ付きやすいアップ・チューンは、幅広いリスナー層から素直に支持されそうだ。時間を置いて振り返った時、〈互いのキャリアの分岐点だった〉と言われるような重要盤になる可能性も十分あり。