INTERVIEW

実力派ピアニスト、青木美樹が奏でる近代フレンチ名曲―プーランクやサティなど1920年代パリ薫る3作目『Melancolie』を語る

(C)Larrynx Photography
 

1920年代パリの夜の華やかな匂い香る凛とした最新作

 9歳で渡英後、欧米の名門大学で長年研鑽を積んだ実力派ピアニスト青木美樹。2004年のイブラ国際コンクールをはじめ、入賞歴も多く、現在はオーストリアで教育者としても活躍中だ。

 彼女は過去に独プロフィール・レーベルから2枚のアルバムを発表しているが、この度3枚目をリリース。収録曲には近代フランスの名曲が数多く並ぶ。1920年代のパリの夜の華やかさや輝くネオン、香水の芳香などが、瑞々しくきらめくような1枚だ。その中核をなすのが、前半に並ぶプーランク3曲 《メランコリー》《3つのノヴェレッテ》《ナゼールの夜会》だという。

青木美樹 Melancolie Profil(2016)

 「プーランクをきちんと勉強したのは最近で、インドネシア系ヴァイオリニストのイスカンダル・ヴィジャヤさんと、彼のソナタを共演したのがきっかけでした。画家マティスから影響を受けたその作風は、和声も旋法も実に洗練されています。今回は、私が一番好きなプーランク作品の《メランコリー》と、最も難しいと思う《ナゼールの夜会》を同時に録音してみました」

 他にも、サティの有名な《3つのジムノぺディ》や、南米やジャズ風のテイストが魅力のミヨー《キャラメル・ムー》、オネゲルの隠れた名曲《ショパンの思い出》などを美しく巧みに弾き分けた当盤。中でも、彼女のそうした妙技が光るのが、《6人組のアルバム》だ。

 「“フランス6人組”が共同制作した全6曲の曲集で、作曲家の姓をアルファベット順に並べた構成になっていて面白いですね。各曲とも短くコンパクトにまとまっているのも、お洒落で素敵だと思います」

 また青木は、過去に発表した2枚でも知的で独創的なアルバム作りのセンスを発揮している。

 「デビュー盤の『コダーイ作品集』(PH11040)は、インディアナ音大時代の恩師で、作曲者と同じハンガリー系のジョルジー・シェベック先生へのオマージュ。過去にスイスのローザンヌ音楽院で教鞭を執っていた縁で知り合ったエリザベート国際の覇者、アンドレイ・バラーノフ(vn)さんたちと共演した『ロシア室内楽作品集』(PH12033)では、リムスキー=コルサコフのピアノ三重奏曲など、珍しい作品をたっぷりとお楽しみください」

 そして9月23日には、横浜のフィリアホールで当盤の発売記念リサイタルも開催。演目は、CD収録曲に加え、エルガーの《愛の言葉》と《愛の挨拶》を並べての演奏や、リストの大がかりな傑作ソナタなども予定している。さらに、次回の録音では、ダウランドからビートルズまでカバーし、ホルストのピアノ曲(!)まで入った「イギリス作品集」を計画中だというから、実に楽しみだ!

 


LIVE INFORMATION

ニューアルバム発売記念 青木美樹ピアノリサイタル
○9/23(金)14:00開演 フィリアホール(神奈川)
www.miki-aoki.com

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