ホームカミングス福富のニューキッズオンザブロック! From中立売

さよなら、ウェイヴ ~センチメンタル・ビデオ・ショップ・ストーリーズ

さよなら、ウェイヴ ~センチメンタル・ビデオ・ショップ・ストーリーズ

書かなきゃ書かなきゃと思っているうちにとうとう秋っぽくなってきちゃいましたね。夜涼しいだけで、なんだかぐっときちゃったりしません? アメフトとか聴いちゃったり。アヴァランチーズに続けとばかりにリリースされる彼らのセカンド、超楽しみです。この間出たオーウェンの新譜もめちゃくちゃ良かった。10月に出るというのが、またなんとも良いですね。

※10月21日にリリースされるアメリカン・フットボールの新作『American Football』

今年の夏はいつになくフェス!フェス!フェス!ってな感じでした。フジロック、ラッシュボール、ベイキャンプ、福井TVのお祭りでSilent Sirenと対バンというレア案件もあった。EMC(みんなだいすき! エンジョイ・ミュージック・クラブ!)の〈エンジョイスーパーライブ〉もお祭り感あったな~。規模感はちょっと違うけど、今年もナノボロフェスタでライヴできて嬉しかった。あとメトロでやったリリースパーティもジョイが溢れていましたね。HALFBY兄さんのDJが爆発的に最高でした。ハーフビーがプロデュースしたEMCの新曲“フレッシュ”、名曲なんで要チェック! フジの思い出詰まった写るルンです、失くしちゃったのめちゃショック。フジでは、ウィルコがライヴ観て褒めてくれたり、トラヴィスと写真撮ったり、深夜のパレスでお立ち台登ったり。ラッシュボール&ベイキャンプでは中学生だったころの自分が爆死。念願叶って遂に観た銀杏BOYZ彩加さんと一緒に泣きました。ストレイテナーホリエさんにブログ読んでました報告できて嬉しかった。ホワイ?ポスタル・サーヴィスを知ったのもそのブログのおかげ。

ホワイ?の2005年のEP『Sanddollars』収録曲“Sanddollars”
 

ついつい夏の思い出が溢れ出てしまっていますが、話は戻って、というかここからが本題! 夏も終わりに近づいて涼しくなってくると、なんでもないのに寂しくなってきたりもしますけど、なんとまぁ寂しいことに、近所のレンタルビデオ屋さんが閉店してしまいました。しかも知らない間に、8月31日で。堀川通りの二条城近くにある「ウェイヴ」。京都に住んでいる人なら〈ああ!〉となること間違いナシのあそこですよ。めちゃくちゃ良いお店だったんです。まさにレンタルビデオショップって感じのお店で、小さい店内にDVDとVHSがぎゅうぎゅうで、ラベルとか日焼けしちゃってて。クタァってした店長さんが、毎日絶対レジにいて、ダルそうな大学生っぽい男の子が一人だけバイトで入ってて。いらなくなった新作映画の立て看板やポスターは持って帰ってよくて、店長さんがオススメの映画にはめちゃ丁寧なレビュー書いたカードが貼ってあった。なかなか準新作から旧作に落ちなくて、会員カードもなんか味があって。

昔はこういうレンタルビデオ屋さんいっぱいあったんやけどなぁ。僕が育った石川県の町にも「アスカ」というお店があって、小学生の頃、遅い時間(っていっても21時や22時)にお父さんに連れて行ってもらって、好きな映画を2本だけ選ぶのが、なんだかワクワクして大好きだった。だいたい1本はジブリやクレヨンしんちゃんの映画で、もう1本は洋画。お父さんに「トータル・リコール」や「ビバリーヒルズ・コップ」とか選んでもらって。お母さんとお父さんはよく「ビバリーヒルズ高校白書」を観とったな。ぼくが80年代の洋画の感じが好きなのは、絶対その影響だと思う。あとは金曜ロードショーで毎週「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「ターミネーター」を観ていたのもある。自発的にいろんな映画を観るようになるのは高校生になってからだったけど、その頃にはもうとっくにアスカはなくなっていた。ぼくが中学生の頃、アスカのすぐ近くに大きなツタヤができて、アスカはあっというまに閉まった。

当時、CDを買うにも電車でちょっと大きい町までいくか、家族で出かけたときにわざわざ寄ってもらうかぐらいしか選択肢がなかったぼくにとって、チャリでCDを買いにいけるっていうことがめちゃくちゃ嬉しくて、ほとんど毎日のようにヘルメット被って立ちこぎしてツタヤに通っていた。そういえば開店セールみたいなやつで新品のCDを500円とかで売ってたときはやばかったな。ウィーザーの『Pinkerton』を買ったのは忘れられない。500円で見つけたミスチルのアルバムがブックオフに1500円で売れた、なんてこともあった。あとはあれだ、フォーマットのセカンド『Dog Problems』を買ったのもツタヤのセール。なんかよくわからんけど安いしと買って、家で寝るときに聴いたら本当にめちゃくちゃ良くて、布団に包まったまま感動したのをいまだにはっきりと覚えている。

フォーマットの2006年作『Dog Problems』収録曲“Dead End”
 

レンタルCDのコーナーには、ご自由に試聴どうぞって感じでCDウォークマンが置いてあったから店内のCDを片っ端から聴いていた。なぜか!!!ギャング・ギャング・ダンスアニコレの『Strawberry Jam』とかがレンタルコーナーでプッシュされていて、いま考えると凄い。クラクソンズアークティック・モンキーズも全部ツタヤで聴いた。かっこよすぎてどうしても欲しかったけど、やるバイトやるバイト高校の先生に見つかって(校則でバイト禁止だった)一気にいっぱいCDを買えるほどお金なかったから、本当に毎日行ってずっと試聴してた。なんとなくレンタルするのは嫌で、MDに録音する時代でもなくなってきてたし、CDとして手元に持っておくことが、ぼくにとってはめちゃくちゃ大事で。それはいまもやけど。すぐ側の薬局で働いたら毎日帰りに寄れる!と思ってバイトを始めたら、初日にレイアウトを覚えるために店内一周するという初歩の段階で数学の先生に見つかり、次の日指導室に呼ばれてめちゃくちゃ怒られた。そうやって買ったCDのなかにティーンネイジャーズというバンドのアルバムがあって、その1曲目が“Homecoming”という曲でバンド名になった。

ティーンネイジャーズの2008年作『Reality Check』収録曲“Homecoming”
 

そんなわけですっかりツタヤに入り浸っているうちに、アスカはなくなってしまっていた。ぼくが行かなくなった間も、お父さんはアスカで映画を借りていたみたいだった。ツタヤのカード作るのが面倒くさいとかそんな理由だったと思うけど、本当は思い入れがあったんやろうなと、昔もいまも思う。ジャスコに行くのに着いていった帰り道とかアスカの前を通る度に〈店長さんどうしてるんかなぁ〉と思ったり、袋に描いてあったイラストが可愛かったことを思い出したりして、ちょっと寂しくなった。そっくりそのまま中身だけ入れ替えて雑貨屋さんやカフェになっていたけど、どれも長続きしなくて半年に1度ぐらいの割合でテナント募集の張り紙が貼られていた。いまは何になってるんやったっけな? 塾かなんかやった気がする。

不思議なことに、ウェイヴに初めて入った日のことははっきりと覚えていて、2012年のクリスマス、Hi, how are you?Homecomingsで初めてクリスマス企画をやった日だった(いまだに毎年やってます)。そういえば、2012年はHomecomingsを組んだ年。東寺の近くの〈蜜柑〉という喫茶店の二階を使って。まだ2組とも全然人気無くて、お客さんは10人ぐらいしか来なかったんだけど、なぜかアガリがめっちゃ出て、みんなでステーキを食べに行った(いま調べると蜜柑も閉店してた)。その帰りに、当時住んでいた宝ヶ池まで原付で走ってると、なんとなくウェイヴが目に入った。お店の前にレンタル落ちのビデオがワゴンセールで売ってあって、それで気になったんだと思う。その日は確か「トゥルーマン・ショー」のビデオを買って帰ったはず。帰ってすぐ観て感動のあまり巻き戻してもう1回観た。いまや好きな映画ベスト3には絶対入る作品になっている。家が遠いからレンタルすることは無かったけど、近くを通るときにはふらっと寄ってビデオを漁っていた。「ウルトラセブン」と「帰ってきたウルトラマン」が大量に出ていたときは興奮したなぁ。「メジャーリーグ」や「ドク・ハリウッド」もここで買ったと思う。ビデオ独特のくすんだ質感で観る好きな映画は格別で、あとやっぱりめちゃくちゃ安いのも魅力。だって1本100円とかですよ。自販機で買うジュースより安い。スーパーで買うアイスよりかは高い。

大学を卒業してCD屋さんで働き出して、中立売に住むようになり、ウェイヴが近所になってから、通うようになった。なんとなく寂しい夜や眠れないときは、適当な格好でチャリ漕いでレンタルしに行った。遠回りして帰りたくなったときもよく寄っていたし、大雨の日に傘を差して返却しに行ったこともあった。やっぱり夜に行くのが好きだったのは、小学生の頃アスカに行ってワクワクしたあの感覚だろう。パジャマで映画を選んでいる大学生ぐらいのカップル観てキュンキュンしたり。好きな女の子に、元カレとウェイヴに行っていた話をされたときは、一緒に行きてぇ~と心の底から思った。そんななか、ちょっと行かない間に閉店することが決まっていて、それにすら気付けない間に本当になくなってしまった。

この前の休みの日の夕方、ふらっと三条商店街に行く途中に、ふと目に入ったお店の感じが明らかにいつもと違っていて、嫌な予感でドキドキしながら店の前まで行くと、店内がほとんど空っぽになっていて、ドアに閉店を伝える張り紙が貼ってあった。そこには〈建物の老朽化により〉と書いてあった。そうじゃないんだろうな、嘘つくの下手やなと思った。どうやら8月25日から31日の閉店までの間は、店内のレンタル商品が全部500円くらいで買えるセールをやっていたらしい。欲しいのいっぱいあったのにと思うと悔しくて余計に悲しくなった。あの店長さんこれからどうするんやろ、とか考えてしまっていろんなことを想像した。お店を出たあとも、どうしても気になってしまって、その日の夜にもう一回お店を見に行った。灯りはついていて、どうやら店内の掃除をしているみたいだった。夕方来たときには気付かなかったけど、店の前にポスターをたくさん入れているバケツが置いてあって〈ご自由にどうぞ〉とだけ書かれていた。ごそごそしていると「ヴィンセントが教えてくれたこと」のポスターがあった。

個人的に特別な思い入れがある映画だったから、感激してしまったぼくはその勢いに任せてお店のなかに入ってみることにした。ドアをくぐると、店長さんが手に持ったゴミ袋にレシートの束かなんかを勢いよく捨てていた。目が合った瞬間、とっさに言ってしまったのは〈ポスター巻いて持って帰りたいんで輪ゴムかなんかありますか?〉って。店長さんは一瞬困ったような顔をしたけど、すぐに紙切れとテープを出してくれた。ポスターを巻きながら、閉まっちゃうんですね、そうなんですよ、よく来てたんです、いやぁありがとうございました、なんかすいません入ってきちゃって、いやぁすいませんこちらこそ、みたいな会話をぽつりぽつりと交わした。「エレファント」のビデオは売れちゃいました?と訊きたかったけど、なんだか野暮な気がして止めておいた。最後にお話できて良かったですと言うと、嬉しそうな寂しそうな顔で笑ってた。お店を出るとぽつぽつ雨が降りだしていたから、ポスターが濡れないように急いで帰った。ちょっと泣きそうになっていた。本当に好きなお店だったなぁ。西院のレンタル屋さんも潰れちゃったし、東山三条のところもなくなっちゃったんで、レンタル落ちのVHSを買えるお店がもう近くにはない。「ウェイヴ」はまだ看板とかは残っている。最後に一目、よかったら見に行ってみてください。

そんなこんなで感傷的になっているぼくですが、Homecomingsは今月なんと12本ぐらいライヴがあります。〈CENTRAL PARK AUDIO TOUR〉はそろそろ大詰め。あなたの町にもホームカミングスがやってくる!という感じで各地を回っておりますので、是非チェックしてください! 月末にはあのヤックの来日公演に出演! 嬉しすぎるし楽しみすぎる! それでは今月はこのへんで。

 

Homecomings〈CENTRAL PARK AUDIO TOUR〉
9月18日(日)島根・松江NU
共演:ラッキーオールドサン
DJ:TFCYUMY
9月19日(月・祝)広島・福山Hot Blues Cafe
共演:Kensuke Yamamoto(full band)/Jiggaaaps
9月23日(金)福岡・福岡UTERO
共演:シャムキャッツ
9月24日(土)愛媛・松山Bar Caezar
共演:シャムキャッツ/オノマトペ
DJ:ROCK TRIBE Dj's(Nori/Kondo/Hajime)
9月25日(日)岡山・岡山YEBISU YA PRO
共演:シャムキャッツ
10月10日(月・祝)石川・金沢vanvan V4
共演:スカート

★各公演の詳細はこちら

【プロフィール】
福富 優樹

福富 優樹 (ふくとみゆうき)

京都の4人組バンド、Homecomings唯一の男子でギターと作曲と作詞をヴォーカル畳野と共に担当。普段はCD屋さんでせっせとレジを打っています。1番好きなバンドはスピッツかペイヴメント。好きな漫画は〈タンタンの冒険旅行〉シリーズかエイドリアン・トミネ。好きな作家はスチュワート・ダイベックで、好きな映画は「トゥルーマン・ショー」と「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」。

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