COLUMN

“Lean On”で名を上げたDJスネイク、ビーバーやスクリレックスら迎え現行ポップのトレンド総動員した初作をクロス・レヴュー

“Lean On”で名を上げたDJスネイク、ビーバーやスクリレックスら迎え現行ポップのトレンド総動員した初作をクロス・レヴュー

SNEAK ATTACK
昨年を代表する世界的なヒット“Lean On”を生んだDJスネイクが、豪華なゲスト陣を迎えて音楽性の幅を広げた強力な初のアルバムを投下! これはアーティストとしての新たな始まりを告げるアンコールなのだ!

DJ SNAKE Encore DJ Snake/Interscope/ユニバーサル(2016)

現行メインストリームに必要不可欠なポップネス

 2009年にプロデュース活動を始めたDJスネイク。このご時世に珍しく手掛けた作品こそわずかだが、頭角を現したレディ・ガガ“Government Hooker”を皮切りに、リル・ジョンを従えた“Turn Down For What”、メジャー・レイザーとの“Lean On”など、シーンの趨勢を左右する決定的な仕事を高確率で叩き出している。そのスネイクが〈ULTRA JAPAN〉への出演を目前に控え、オリジナル・アルバム『Encore』を完成させた。強力なゲストと共にトロピカル/トラップハードダンスエレクトロほか、自身が土壌を耕したともいえる、現行ポップ・フィールドに必要不可欠なテクスチャーを総動員した本作は、切ないメロディーでコーティングされた耳当たりの良いスネイク流儀のダンス・ポップ博覧会の様相だ。バイポーラ・サンシャインとのアンニュイで胸を焦がすメロディーが耳に残る“Middle”、スクリレックスの鋭利なサウンドと融合した“Sahara”、イエロー・クロウとハードスタイルで共演した“Ocho Cinco”、ヤング・サグミーゴストラヴィス・スコットらトラップ勢と絡む“The Half”や“Oh Me Oh My”、終盤には“Lean On”的なエキゾ・ポップ“Let Me Love You”でジャスティン・ビーバーとも邂逅を果たし、マッド・ディセントにフックアップしてくれた先輩ディプロのお株を奪う妙技と越境ぶりを見せつけてくれる。 *青木正之

 

ゆるいテンポ感で発揮される持ち味

 ダラスのトラックメイカーでもガバの人でもなく、もうシカゴのDJスニークとごっちゃにされることもないのだろう。ピットブルのワールドワイド化に貢献した後、ディロン・フランシスと組んだマッド・ディセント発の“Get Low”(2014年)でクロスオーヴァーに台頭したパリ出身のDJスネイク。昨年はメジャー・レイザーとの世界的ヒット“Lean On”でトレンドの流れを変え、〈DJ Mag〉の選ぶ昨年の〈Top 100 DJs〉では前年の65位から32位にジャンプアップするなど、クリエイターとしてもDJとしてもグイグイ昇り調子な彼が、まさに旬を逃さぬタイミングでファースト・アルバム『Encore』をリリースした。

 バイポーラ・サンシャインを迎えた先行カット“Middle”は“Lean On”を踏襲したメロディック浮遊ポップで、他にもジョージ・メイプルの歌うまろやかなトロピカル・ハウス“Talk”など、時代の欲するミッドテンポのクラブ・トラックで存分に力量を発揮。特に、ゆるゆるなテンポ感を南国色の意匠で包んだジャスティン・ビーバーとの“Let Me Love You”はここからさらに大爆発しそうだ。また、ジェレマイの歌を軸にしたスナップ系の“The Half”や、トラヴィス・スコットらを配したトラップ(・ホップ)の“Oh Me Oh My”の堂に入った出来映えは、もともとゼロ年代のクランク~トラップ系ヒップホップの強い影響下にある資質が素直に出た結果でもあるだろうし、一方でハードスタイルな絶叫ダブステップ“Propaganda”やイエロー・クロウとの“Ocho Cinco”などの(EDM文脈で言うところの)トラップも作中にアッパーな起伏を刻む。いま聴かれるであろう要素が清々しいまでに満載され、本来の意味での大衆性に溢れた佳曲集だ。 *出嶌孝次

LOCAL GREEN FES
pagetop