テニスコーツやSECAIとのスプリット等ですっかりお馴染みの吟遊詩人ことパスタカスが、8年の月日をかけて遂に待望のフルアルバムを完成! 実は1度2012年にほぼ完成していた音源がコンピューターのトラブルにより白紙になってしまったという。家族や友人たちに支えられ、この大きな苦難を乗り越えた事が音にも現れているかのように、これまで以上にここで鳴っている音はあたたかい。エレクトリック・フォークと評される独特の土臭さと、浮遊感のあるドリーミーな電子音が吟遊の旅に誘うと共に、彼が家族と暮らしている静寂に包まれた原始の森の風景が音像として浮かびあがる。

 


テニスコーツとのコラボ盤に加え、SECAIの最新作にも顔を出していたので不在感はないものの、単独のオリジナル・アルバムとしては実に8年ぶり。エイフェックス・ツイン好きにもアピールできそうな知性派テクノで始まったかと思えば、アウスゲイルを想起させる北欧のフォーク・ポップ的な曲まで披露し、引き出しの数がグンと増えた印象だ。エレクトロニカ作品は単調なものも少なくないなか、これはどうよ!