BBCやブリット・アワードでも高評を得た、エチオピア人と英国人の血を引く若手女性シンガー。ガールズ・グループ出身で、3年前にはインディーでソロEPも出しているが、エピックからのメジャー・デビュー・アルバムとなる本作で一気に〈時の人〉となった。UKの歌姫たちに関わってきたジャスティン・ブロードらが手掛ける、クラシック・ソウルやロカビリー的なサウンドをベースにしたポップなR&Bは、パフォーマンスも含めて本人も認める通り故エイミー・ワインハウスや交流のあるサム・スミスからの影響が窺える。が、奇才ダン・グレチ・マルゲラットが手掛けた“White Tiger”など、生楽器を使った抜けのいい演奏をバックに愛らしいハスキー・ヴォイスで情熱的に歌い上げていく姿は、もっとカジュアルで開放的。アンドラ・デイを思わせる瞬間もあれば、ホーン入りのアーシーかつモダンな“Skinny”などはライオン・ベイブに通じていて、テン年代中盤らしいエッジの利いたポップネスが光る。古式ゆかしく最前線を行く好盤だ。