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制御不能のエネルギーを、男性陣が論理的に解釈している

――まさに最近は、さっき話に出たいわゆるヴォーカリストでもなければ、絵に描いたようなシンガー・ソングライターでもない、新たな感性のフロントウーマンがいるバンドが増えてる気がして、それこそMikikiでインタヴューしたCRCK/LCKSshowmore、メジャー・デビューが決まったCICADAだったり、みんなそれぞれ盛り上がってきてると思うんですよね。

吉田「確かに、増えてるかも。ジャズ・ヴォーカルだった子がバンドを組んで、そのバンドがポップで、なおかつ変拍子だったり、変なことをしていて……みたいなのが、後輩とか同世代でも多いです。だから、最近は女の子ヴォーカルの友達が増えて、バンドの話ができるようになったのですごく楽しいです」

「変拍子も、いまでは珍しくないもんね。ZA FEEDOを始めたばかりの頃は、〈難しいことやってるね〉という感想が多くて、別に難しいことをやろうと思ってやってるわけじゃなかったから、結構寂しかったんです。でもシンガポールのフェスに呼んでもらったりして、海外の人と交流が増えてきたときに、彼らがZA FEEDOを〈ヤバイ、すごくカッコイイ!〉と言ってくれて。寂しくても続けてきて良かったと思いました。そういう感じが、(日本でも)浸透しつつあるのかなって」

ZA FEEDOのシンガポールでのライヴ映像
 

――リスナーの耳も変わってきているのかもしれないと。いい状況のなかで、ZA FEEDOのアルバムが出るということですね(笑)。

「ラッキーですね(笑)。喜ばしいことです、ホントに」

――では、ZA FEEDOの魅力について、クロさんはどのように感じていますか?

クロ「私はZA FEEDOをマサナオさんを通して知ったこともあって、マサナオさんが曲作りから結構関わってるのかと思っていたんですけど、この間メイちゃんのソロ・ライヴを観たら、メイちゃんの世界観に仲間が加わりました、という感じなんだなって思いました」

「ここ最近になって、そういう曲が増えてきた感じです。一時期はレッチリっぽいのをやって楽しくなろうみたいに、○○っぽい曲を作ろう、とにかく盛り上がる曲を作ろうといった感じで、いろいろデモを作ったりしていたんですけど、そういう曲って自分がすぐ飽きちゃうんです(笑)。自分の曲なのに、何かしっくりこないんですよ。でも口下手なので、それを言葉で上手く伝えられなくて」

――なるほど。

「それで、〈とにかく曲を作って持って行けばいいや〉と、何も気にしないで自由に作ってみようと初めて思ったのが“チロの目”という曲で。チロという猫の目が丸くて変だなと思って、適当に歌っていたら曲になったので、さらに打ち込みでトラックを作って、デモにして持って行って。やりたい放題の曲なので最初はすごく緊張したんですけど、みんなめちゃくちゃ喰いついてくれたんです。自由気ままに作ったから拍数も入り乱れてるんですけど、マサナオはそういうのを聴き取るのが本当に得意で、全部ホワイトボードに書き出していくんです。それを見ながら、〈みんな大変なほうが燃えるのかな〉って勝手に思うようになり(笑)。そこで味を占めて、いまのような曲を作るようになったんです」

――今回のアルバムもメイさんの作った曲が多い?

「半分くらいは私の作った曲で、あとはセッションだったり、“ソバカス”は道くん、最後の“ライクライカ”はTAKさんが作っていますね。タイトル・トラックの“2772”はセッションしながら作ったんですけど、メンバーに赤ちゃんが生まれたとき、その子の体重が2772gで、ちょうどシンメトリーじゃん!という話から2+7=9拍子で曲作りしようということになって。それで歌詞も〈立派に大きく育つんだぞ〉という内容になっています」

――では、沙良さんから見たZA FEEDOの魅力は?

吉田「とにかく自由。拍とかにあそこまで捉われないのは、頭の中に譜面がないからだろうなって。〈曲を作る〉という概念がちょっと違うというか、自然に出てきたものを歌ってる感じなので、拍にするとおかしいのかもしれないけど、逆にスッと入ってくるんですよね。そういうところにすごく憧れていて。私も最近曲を書くようになって、“たらけも”という曲を書いたんです。これまで、ものんくるは角田さんワールドでやってきたけど、自分には何が書けるのかと考えて。それで、私は普段、家のなかであんまり日本語を喋らないので……」

クロ「え、じゃあ何を喋るの?」

吉田「〈たらけも〉みたいな、ちょっと変な言葉というか……」

「なんだそれ!」

吉田「自分が満足すればいいだけの独り言として、言葉にならない言葉を口にしながら生きていて。それで一時期〈たらけも〉という言葉にハマって、よく言ってたんです。そこにメロディーを付けて歌ってみたら、角田さんがギターで合わせてくれて曲になった。それをいいねと言ってくれる人もいるので、さっきの“チロの目”の話にも近いのかなって思いました」

――クロさんも“チロの目”や“たらけも”のように、感覚的に作ることってありますか?

クロ「私は論理的に考えようとしちゃうところが、歌をやるうえでは結構イヤで、メイちゃんは完全に右脳タイプなんだろうなと思う。さっきの話を聞きながら納得したんですけど、自分一人でトラックを作ると、制御不能のでっかいエネルギーみたいなものが出来上がって、それを男性陣が論理的に解釈しているということですよね。だから、数学的な面もあるけど、それだけに終始しないというか。そこに終始するだけだと、グッとくるかわからないと思うし……」

――逆に、数学的な面がゼロでも、ホントに制御不能な、とっ散らかったものになっちゃう危険性もありますよね。

クロ「そのどっちの可能性もあったと思うけど、バンドとしてやることですごいミクスチャーになってるんだなって。だからこそ、〈絶妙なバンド感だなといつも思います〉と(ZA FEEDOの)推薦コメントにも書かせてもらったんですけど」

――確かに、ネイ・パームも右脳タイプっぽいし、そういう人と論理的な男性陣のバランスがいいバンド感を生んでるのかもしれない。やっぱり、今日のキーワードは〈バンドである〉ということだったように思います。では、10月から始まるZA FEEDOのリリース・ツアーでは、大阪公演にものんくる、東京公演にTAMTAMが参加するということで、最後にメイさんから2組のライヴの観どころを話していただけますか?

「ものんくるは、角田さんの楽曲はもちろん、とにかく沙良ちゃんの歌を聴いてほしいです。ドラマティックというか、ハンサムというか。いいなあ、その声ちょうだい!っていつも思いますね。そこに角田さんの一筋縄で行かない、それでいてどこか懐かしく感じる楽曲が混ざり合うという、ものんくるのパワフルで美しい音楽は、言葉にするのがもったいないくらい。いまは沙良ちゃんの曲も聴けるし、とにかく観て体験するしかないです!」

「TAMTAMはこれまでにたくさんライヴへ遊びに行ってるし、もともと大好きなんですけど、最近は曲やバンドにクロちゃんという人物が全面に押し出されている気がして、すごく魅力的でキラキラしてるなぁ!って思います。高橋アフィくんのドラムも大好きだし、みんながリラックスして演奏しているのが素敵。それに、以前のロックなTAMTAMも好きだったけど、ニュー・アルバムが最高に格好良いんですよね。あとはライヴ中にクロちゃんが弾くシンセやコーラスとか、バンドのみんなが内職作業してる様子が好きです!」

TAMTAMの2016年作『NEWPOESY』収録曲“アンブレラ”
 

――これはツアーも盛り上がりそうですね。

「ホントに今日は話せて良かった。2人とも大好きです」

――いずれはティレリーのように、3人でユニットを結成するのもいいかもしれない。

※グレッチェン・パーラトとベッカ・スティーヴンスレベッカ・マーティンによるユニット。今年9月に初のアルバム『Tillery』の日本盤がリリースされた

「やりたい! まずはエフェクターを一緒に買いに行くところから(笑)」

 

~ZA FEEDOからのお知らせ~ 

1st ALBUM “2772” RELEASE!!! BADASS FUJIYAMA TOUR!!!

2016年10月11日(火) 長野・飯田ジャングル

2016年10月12日(水) 岐阜TRAVESSIA

2016年10月13日(木) 大阪・心斎橋 digmeout ART&DINER
〈TONE FLAKES vol.110〉
共演:ものんくる/DECK E

2016年10月14日(金) 大阪FANDANGO
〈TONE FLAKES vol.110 “MARCHING BAND Japan Tour 2016”〉
共演:マーチング・バンドイツキライカ(band set)

2016年11月20日(日) 東京・新代田FEVER
〈BADASS FUJIYAMA TOUR FINAL !!! “NERD vs GEEK FES”〉
共演:MUSIC FROM THE MARS小西遼(CRCK/LCKS)&常田大希Srv.Vinci)/umber session tribe/TAMTAM/sajjanu

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~TAMTAMからのお知らせ~

TAMTAM 『NEWPOESY』 Release Tour

2016年10月2日(日) 茨城・古河SPIDER
〈Shower of Music vol.68〉
共演:MAGIC FEELINGA Month of SundaysVulpes Vulpes SchrecktShower of Music(DJ)

2016年10月22日(土) 大阪・南堀江socorefactory
〈スキマuramado産業 TAMTAM×キツネの嫁入りW Release PARTY osaka!〉
共演:キツネの嫁入りThe sankhwa and more

2016年11月4日(金)東京・渋谷TSUTAYA O-nest
共演:TempalayDyyPRIDE(from SIMI LAB

★各公演の詳細はこちら 

 

~ものんくるのお知らせ~ 

10月9日(日) 東京・六本木ARK HiLLS CAFE
〈ARK HiLLS CADE: JAZZ FESTIVAL〉

10月26日(水) 東京・新代田FEVER
〈MORTAR RECORD×MFTM presents “Experienced Ears”〉
共演:Music From The Marsampel

11月11日(金) 愛知・名古屋K.Dハポン

11月15日(火) 神奈川・洗足学園音楽大学ビッグマウス
〈かわさきジャズ2016〉

12月28日(水) 東京・渋谷JZ Brat Sound of Tokyo
〈LAST TRAIN 2016〉

★各公演の詳細はこちら