マレイ・ペライア、ドイツ・グラモフォン移籍第1弾となったのは、彼にとって特別な作曲家の一人である、J.S.バッハのフランス組曲。ペライア自身が「バッハの作品の中でも最高峰に位置するもの」と語るように、作品に対する畏怖の念にあふれている。大事に一音一音紡ぎだされるようなその演奏は、奇を衒ったようなところは全くなく、実直そのもの。派手さはないが、表情豊かで深みのある音で奏でられており、じっと耳を傾けずにはいられない。これまでもバッハの名演を聴かせてくれたペライア。今回も素晴らしい演奏を聴かせてくれることとなった。新天地での今後のリリースも楽しみになる1枚。