ウィルヘルム・アンド・ザ・ダンシング・アニマルズモーンをはじめ、活きの良いグループが数多く活躍する現行のスペイン・シーンから、またも期待の新人がアルバム・デビュー。すべて2分前後で駆け抜ける粗削りなガレージ・サウンドには、図々しいぐらいの野心が感じられる。とりわけ英語と母国語を鮮やかに行き来するエモーショナルな歌声は、音楽業界にロックの興奮を蘇らせる強烈なカウンター・パンチとなりそうだ。ちなみに、フロントマンのディエゴ・ガルシアハインズのプロデュースも手掛けるヤリ手で、両者は過去にバーガーからスプリット盤を発表したほど相思相愛。その関係性はかつてのブラック・リップスヴィヴィアン・ガールズを思わせる。年末にかけてウィッチーズトーイテンプルズなどのリリースを控えるヘヴンリーが、サイケだけじゃなく、こういうバンドを猛プッシュしている点にも、何か特別な意味を感じないか!? 2016年マストの一枚。