ブレイクボットDJスネークといった気鋭の台頭で刷新されつつあるフレンチ・クラブ・ミュージック・シーンですが、ダフト・パンクと並んで忘れてはいけない重鎮がこのカシアス。実に10年ぶりとなる新作は、イビザとカリフォルニアを掛け合わせたアルバム・タイトル通り享楽的なポップ路線で、トロピカルな雰囲気も出ています。楽曲の粒が揃っていて聴きやすいし、ノリの良さは申し分なし。ゲストも豪華で、ビースティ・ボーイズマイクDファレル・ウィリアムズキャット・パワーワンリパブリックライアン・テダーなど、互いの制作に顔を出している面々なので相性も良い感じだし、ポップ・フィールドでもすんなり受け入れられそう。ただ、彼らのモーターベース時代を知る身としては、インストの素晴らしさにやはり唸ってしまう。特にタイトル曲は最高のバレアリック・チューンに仕上がっていて、こういうのを聴くと丸ごとクラブ・トラックだけのアルバムも作ってくれないかなと密かに願ってしまいます。