円谷プロ公認! 喬太郎師匠がウルトラ仕様のお囃子で登場

 第1期ウルトラシリーズ(「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」)がTV放送されたのは1966~68年。空想特撮シリーズと銘打たれた放送に夢中になった当時の子供たちの多くが〈これは創りもの〉と頭では理解しつつ心ではそれをリアルな現実として受け止め自分がTV画面の中に入り込みウルトラマンやセブン、怪獣や宇宙星人、科学特捜隊と共にサスペンスに満ちた空想現実を生きる事によってカタルシスを得ていたはず。それが退屈で平凡な日常を一瞬でも忘れる事が出来る唯一の方法論であったとも思う。そんな体験はいつしか音楽や映画という別ジャンルの創造物に対して転化され大人になろうがエンドレスで続いて行く事になる。ありがとうウルトラマン! 怪獣&宇宙星人たち! というマクラを振りつつ漸く本編に入らせて頂く。

柳家喬太郎, 柳家喬之助 『ウルトラマン落語』 コロムビア(2016)

 今年2016年は「ウルトラマン」放送開始から数えて50周年。そんな記念すべき年に開催された催し〈ウルトラマン落語会〉(円谷プロ公認)の模様を収録したのが本DVD。本作で披露される空想特撮シリーズに強くインスパイアされた創作落語3話を書下ろしたのは柳家喬太郎。演じたのがご本人(2席)とその弟弟子である喬之助(1席)。特別に高座返し担当として本物のダダ登場&お囃子も特別ウルトラ仕様!という嬉しい付録付き。高座内容を拙い文章で紹介するような野暮はあまりしたくないのでサラリと紹介。1席目「抜けガヴァドン」(演者は作者、喬太郎)。これはウルトラマン本編&創作の元となった古典名作(「抜け雀」)両方をしっかりお勉強なすってからご覧になる事を強くお薦め。2席目「ふたりのウルトラ」(演者は弟弟子、喬之助)、3席目「ウルトラの郷」(演者は再び作者)。この2話は噺に盛り込まれるウルトラマンのマニアックなネタにいちいち膝叩いたり共感を覚えたりするだけでなく落語世界の住人たちの人情の機微、温もりなんぞも同時に感じとって貰えたら最高デス。