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RIN a.k.a 貫井りらん
情緒たっぷりの艶やかなオリエンタル・ビューティー

 まだ新人ながらRUMIにも通じる力強いラップを聴かせるRIN a.k.a 貫井りらんは、幼少期より女優としてドラマや舞台で活躍してきた、一風変わったキャリアの持ち主だ。日本語ラップ好きが高じてみずからもマイクを握るようになった彼女は、2014年5月にK.E.N aka kiddblazzの企画したセッション曲“just another”への参加で本格的にラッパー活動を開始。そのK.E.NとのコラボEP『DRIP EP』を挿み、2015年8月に配信限定でリリースした初のソロ作品『艶色七変化』ではERONEUSU aka SQUEZYOUNG HASTLE狐火といった豪華ゲストを迎え、花魁を題材に艶やかな世界を広げた“とおりゃんせ”などで存在感をアピールした。

RIN a.k.a 貫井りらん 輪廻 胎動LABEL(2016)

 そして初の全国流通盤となる今回のアルバム『輪廻』もまた、その“とおりゃんせ”に代表されるオリエンタルな情緒を帯びたサウンドと、RINの情念が漏れ出さんばかりのラップ&歌唱が独特のムードを醸成する作品だ。それもそのはず、本作では『艶色七変化』を手掛けたYuto.com™が全曲のプロデュースを続投。中国の民謡を早回ししたような声ネタがノスタルジックな光景を喚起する輪入道との“陽炎”、笛子の音色が月夜に響くMeiso参加曲“同じ月”など、モダンなビートに哀感たっぷりのウワモノを合わせたドラマティックな手捌きが、RINのアクの強い節回しに驚くほどハマっている。ほかにもKEN THE 390を相棒に迎えて愛に焦がれる姿をさらけ出した“Rosario”から、黄猿&磯友とのスリリングなマイク合戦“踊”まで、前のめりなラップが詰まった全10曲。これは濃厚。 *北野 創