INTERVIEW

Plastic Treeの有村竜太朗がソロ始動! THE NOVEMBERS小林ら招き、センシティヴな幻想世界深めた初ミニ作を語る

有村竜太朗『デも / demo』

Plastic Treeの有村竜太朗がソロ始動! THE NOVEMBERS小林ら招き、センシティヴな幻想世界深めた初ミニ作を語る

Plastic Treeのフロントマンにして、 バンドの持つ幻想的なイメージの一端を担う人物が信頼できる仲間たちと初めてのソロ作品を完成。その淵の奥底を覗き込んでみると……

 メジャー・デビュー20周年を来年に控える4人組、Plastic Treeのフロントマンである有村竜太朗が、初のミニ・アルバム『デも / demo』を完成させた。Plastic Treeの一員としての発言からは〈バンドの音であること〉への強いこだわりを感じさせる彼だけに、ソロ作品のリリースというのは少々意外に思えたが……。

 「Plastic Treeではヴォーカリスト、バンドの4分の1なので、Plastic Treeという存在だからこそできる理想を表現しようとするんですけど、ソロの場合は自分だけの理想を追いかけて純度を高めていくだけ、みたいな感じですね。曲は日常的に作ってて。そこからプラにデモを持ち込むとき、特に最近は、リズムもギターも思い付いたものは全部入れてる状態なんですけど、そこにメンバーが関わったときに元のデモ以上にならないと嫌だっていう……矛盾してるんだけど、そういう感情があって。それだとPlastic Treeでやる意味がないから、曲を下げちゃうんですね。それはメンバー全員が曲を書けるっていうことと、4人にフェア性があるからできることなんですけど、ただ、これだけ長いことバンド活動してると、使わなかった曲たちがどうしても溜まってくるんです。もう、(データが保存してある)フォルダが墓地化してきちゃって。無縁仏のお墓がたくさんあるみたいなものですよ(笑)。でも改めてそれを聴き直してみたら、その名前もないような、ただの日付の記録でしかないものに今なら意味を持たせることができるかもしれないって、そう思ったんですよね」。

有村竜太朗 デも / demo blowgrow(2016)

 それからジリジリと制作を進めて約3年。ようやく届けられた『デも / demo』には、2つのインストも含む全8曲が収められている。その構築に助力したのは、hiro)、鳥石遼太高垣良介chouchou merged syrups.)、野村慶一郎といった、セッション仲間から派生したミュージシャンたち。暴力的なディストーション・ギターの波間で儚い歌声が揺れるシューゲイザー“浮融”には小林祐介THE NOVEMBERS)も参加している。

 「以前、〈JAPAN JAM〉でTHE NOVEMBERSのステージに僕とdipヤマジ(カズヒデ)さんがゲストで参加して、マイブラとかプラとかdipの曲をやったことがあるんですけど、そのときのライヴがすごく良くて。それで今回はそういう曲が出来たから、小林君に〈参加してほしい曲があるんだけど〉って渡したら、〈ぜひやりたいです〉って言ってくれて」。

 また、本作にプレイヤーとは異なる関与の仕方をしたのが波多野裕文People In The Box)。彼は「聴いている人に語りかけるような、〈モノ作りのあとがき〉みたいな歌詞の曲」だという打ち込み主体の静謐なセンティメンタル・チューン“恋ト幻”のトラックメイキングを一任されている。

 「波多野君は音楽的な話ができる良い友達なんですけど、〈一緒に何か作ってみたいよね〉って話は前からしてて。で、今回は〈定まったメロディーと、歌詞が出来ていて、(アレンジには)まだ手を付けていない曲はありますか?〉って訊かれて、一曲だけあった“恋ト幻”を送ったら気に入ってくれたから、曲調はもう決まってたし、じゃあもう〈お任せします〉と。そこからは、抽象的な会話しかしてないんですよ。〈途中のあそこ、もうちょっと地獄っぽくなる?〉とか、〈普通のサラリーマンが突然凶行に走って、すぐ現実に戻るみたいな感じですか?〉〈そうそう〉とか(笑)」。

 そして、有村が今回どうしても一緒に仕事をしたかったという人物がもうひとり。もともとはTK凛として時雨)に紹介されたというエンジニアの釆原史明だ。

 「釆原さんはすごくクリエイティヴな方で。今回は、レコーディングした後の、釆原さんとふたりの時間が長かったんですね。マニピュレーターの野村君と曲の原型を作って、それをセッションに持ち込んで方向性を固めて、そこから歌録りの間に釆原さんとまたアレンジを考えたりして……だから3段階ぐらいかな? 曲がどんどん変わっていくっていう。それで余計、純度が高まったのかもしれないですね」。

 全体的な音楽性としてはPlastic Treeと乖離するものではない。だが、同バンドのひとつのイメージを担うあのセンシティヴな幻想世界が、『デも / demo』のなかではより深く、濃厚な佇まいで広がっている。

 「自分のことだからあんまり客観視はできないけど、でも、言われてそうだろうなって。今回は、プラから離れた活動というよりは、そのなかの俺自身にグッと寄って、もっと覗いてもらうような作業だったのかなって思いますね」。

 

『デも / demo』の参加アクト関連の作品

 

Plastic Treeの近作

タワーアカデミー
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