INTERVIEW

独で活躍した指揮者・上岡敏之が新日本フィル音楽監督に就任! オーケストラとしての個性の創出など楽団率いる決意を語る

(C)大窪道治

新日本フィルにしか出せない音、音楽を目指して

 ドイツで活躍を続けていた指揮者・上岡敏之が、2016年9月から新日本フィルハーモニー交響楽団の音楽監督に就任した。ドイツではヘッセン州立歌劇場音楽総監督、ヴッパータール市立歌劇場音楽総監督などとして活躍し、ヴッパータール交響楽団とは来日公演も行った。新日本フィルの音楽監督就任前に共に録音したマーラーの『交響曲第1番』(エクストン)もリリースされ、その清心な演奏がすでに話題となっている。新日本フィルでは、2016/17シーズンから定期演奏会の名称を〈トパーズ〉〈ジェイド〉〈ルビー〉と変更するなど、新しい時代は動き始めている。

上岡敏之,新日本フィルハーモニー交響楽団 マーラー:交響曲 第1番「巨人 Exton(2016)

 「僕の契約期間の中で、まず取り組みたいことは、この新日本フィルというオーケストラの音の個性を作り出すことです」

 と上岡は語る。

 「これまでの日本のオーケストラ演奏だと、どうしても縦の線で音をきっちり合わせて行くことが主流でしたが、オーケストラの演奏の可能性はそれだけではない。それぞれの楽員の個性をもっともっと発揮してもらうことで、太い音楽の流れを作り、それが大きな幹となって、そこに音楽が集まって来るようなイメージを持って、音楽作りを進めて行きたいと思っています」

 しかし、それにはいくつかの課題もあるという。

 「個性を発揮してもらうと言っても、それぞれの楽員と何度も演奏を重ねた上で、それぞれの個性を知り、それをどうやって音楽に活かして行くかを考えなければならない。オーケストラの演奏会の場合だと、リハーサルの回数が決まっているので、じっくりとその楽員と付き合う時間も限られて来る。そこに時間がかかるかなと思っています。ドイツのように、交響曲、管弦楽だけでなくオペラの公演もやるオーケストラだと、必然的に楽員と接している時間も長くなりますので、それぞれの個性を早く知ることも出来る。その点が、ちょっともどかしい感じもしますね」

 と語る上岡。しかし、彼の指揮者としての音楽作りはじわじわと浸透しているように思える。

 「そう。限られた時間の中ではありますが、土台作りはもう始まっていると思います。これからはそれをどんどん広げたい」

 録音に関しては、こう語る。

 「エクストンさんとはヴッパータール交響楽団時代から録音を重ねて来ています。新日本フィルでも、僕の指揮する定期演奏会は全部ライヴ録音をして頂くことになっています。その中から、特に良かった演奏をリリースして行くという形になると思います。特に、こういう作曲家にテーマを絞ってとか、そういうことはないのですが、常にオーケストラの定期演奏会のプログラムもバランス良く考えているので、次に何が出るかはお楽しみに。基本的に定期演奏会のライブ録音となるので、ぜひ、実際の演奏会にも来て楽しんで頂きたいと思います」

 隅田川を超えた東京の東側、いわゆる墨東地域には、すみだトリフォニーホールを拠点とする新日本フィルと、江東区と提携する東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と、2つのプロフェッショナルのオケが存在している。東京の中心部、山手線沿線の会場を使っているオーケストラとは、ちょっと個性も違っていると面白いと思うのだが。

 「客席の雰囲気ですが、すみだトリフォニーでお昼にやっている公演の時は、お客さんの感じがドイツの雰囲気に近いですよ。リラックスしたものを感じる。日本では、やはりすごく真面目に音楽を聴くという習慣が定着しているのか、普通の定期演奏会はまだまだ硬い感じがします。ドイツでは、もっと演奏への反応も熱いし、みんなが楽しもうという雰囲気が感じられます」

 と上岡。墨田区という地域を意識した、地元との連携もこれから模索していくようだ。

 「やはり、小さいうちに生の音楽を体験するということは大きな財産になると思います。そのためにも、聞くだけでなく、もっと参加型の公演のあり方も考えてみたい。そのために墨田区とも話し合いを続けて行くつもりです」

 新・音楽監督を迎えた新日本フィルに注目しよう。

 

 


LIVE INFORMATION

すみだトリフォニーホール開館20周年記念 すみだ平和祈念コンサート2017 《すみだ×ベルリン》
上岡敏之指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団

○2017/3/11(土)18:00開演 会場:すみだトリフォニーホール
曲目:マーラー:交響曲第6番イ短調『悲劇的』
出演:上岡敏之(指揮)新日本フィルハーモニー交響楽団

マーラー特別演奏会 in ウェスタ川越
○2017/3/12(日)14:00開演  会場:ウェスタ川越 大ホール
曲目:マーラー:交響曲第6番イ短調『悲劇的』
出演:上岡敏之(指揮)新日本フィルハーモニー交響楽団

#570 トパーズ<トリフォニー・シリーズ>
○2017/3/17(金)19:00開演 会場:すみだトリフォニーホール
○2017/3/18(土)14:30開演 会場:すみだトリフォニーホール
曲目:ベートーヴェン:交響曲第1番 ハ長調 op.21
モーツァルト:ファゴット協奏曲 変ロ長調 K.191*
シューマン:交響曲第2番 ハ長調 op.61
出演:上岡敏之(指揮) 河村幹子(新日本フィル 首席ファゴット奏者)* 新日本フィルハーモニー交響楽団

#572 トパーズ<トリフォニー・シリーズ>
○2017/4/7(金)19:00 開演 会場:すみだトリフォニーホール
○2017/4/8(土)14:00 開演 会場:すみだトリフォニーホール
曲目:ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77*
ドヴォルジャーク:交響曲第7番 ニ短調 op.70 B.141
出演:上岡敏之(指揮) ヴァレリー・ソコロフ(vn)* 新日本フィルハーモニー交響楽団

#573 ジェイド<サントリーホール・シリーズ>
○2017/5/11(木)19:00 開演 会場:東京オペラシティ コンサートホール
曲目:ワーグナー:歌劇『タンホイザー』序曲
ワーグナー:『ヴェーゼンドンク歌曲集』女声のための5つの詩*
ブルックナー:交響曲第3番 ニ短調
出演:上岡敏之(指揮)カトリン・ゲーリング(S)* 新日本フィルハーモニー交響楽団

横浜みなとみらいホール 特別演奏会
○2017/5/12(金)19:00 開演 会場:横浜みなとみらいホール
曲目:ワーグナー:歌劇『タンホイザー』序曲
ワーグナー:『ヴェーゼンドンク歌曲集』女声のための5つの詩*
ブルックナー:交響曲第3番 ニ短調
出演:上岡敏之(指揮) カトリン・ゲーリング(S)* 新日本フィルハーモニー交響楽団

#8 ルビー<アフタヌーン・コンサート・シリーズ>
○2017/7/21(金)14:00 開演 会場:すみだトリフォニーホール
○2017/7/22(土)14:00 開演 会場:すみだトリフォニーホール
曲目:リクエスト・コンサート
お客様からリクエストを募集、その中から上岡敏之が選んだ曲目を演奏します。募集期間:2016年9月~2017年2月
出演:上岡敏之(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団
www.njp.or.jp/

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