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【BO NINGENの人生一度きり】第33回(前編) 極限まで自分を追い込んだ日本での夏―人生最高の〈フジロック〉に至るTaigenの過酷な足取りを辿る

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  • 2016.12.15

僕達にとって、日本の夏は特別なものだ。
思い返せば2007年に完全DIYで行なった初めての日本ツアーも夏だった。
そして紆余曲折を経て2013年に〈FUJI ROCK FESTIVAL〉に初出演、2015年には〈SUMMER SONIC〉の〈Hostess Club All-Nighter〉に出演、そして今年は3年ぶり2回目の〈フジロック〉出演が決まった。

日本の夏が冬より切なく感じるようになったのは、明らかにロンドンに移住してからのように思う。あれだけ五月蝿かった蝉の音は、気を抜くと涙腺にまでひっかかってしまいそうだし、いままで地球外にでもいたのではないかというぐらいの重力を感じさせる夏の湿気ですら、とても愛しい。

僕は日本の一時帰国を〈仮出所〉に例える。別にロンドンが牢獄と言いたいわけではないのだが、それぐらい非日常的な時間になるのだ。今回僕は、その仮出所期間を最大限に活かすべく、1か月に合計6プロジェクト、約20本のライヴのブッキングを入れた。地下労働施設が限られた地上滞在期間で、伊藤カイジが仲間達の借金返済をめざしてギャンブルに励んだかの如く、音楽的に充実させると同時に、極限まで自分を追い込みたかった。

共作者、共演者、そして毎日まったく違う現場から新しい自分を見つめ直し、一回壊してでもミュージシャンとして、人として成長したかった。強いて言えば、〈フジロック〉前に17本ぐらい入っていたため、その日までにも成長して仕上げたかった。

今回はそんな各プロジェクトをなぞりつつ、僕にとって人生最高のライヴとなったと言い切れるほどの、BO NINGEN〈FUJI ROCK FESTIVAL '16〉の〈WHITE STAGE〉をお話の締めとして、お送りしていこうと思う。予想以上に長くなってしまったが、正直どこも削りたくない。もう個人のブログにまとめて書けよ、という幻聴が聴こえてくる長さである。長いと感じた方は、後日公開される後編の〈フジロック〉のくだりを読んでくれれば問題ない。

2007年の我々

 

6月29日:KISEKI w/Maison Book Girl @新宿Motion

今回の滞在の個人的一発目は、食品まつり a.k.a foodmanとのDuoであるKISEKIのライヴから始まった。オマケに僕がいま一番推しているアイドル・グループ、 Maison Book Girl(以下、ブクガ)とのアイドル現場対バンである。

このKISEKIというユニットは毎度即興であるが故、毎回ライヴの模様が違う。むしろハプニングやヒューマン・エラーのなかでグルーヴを探していくという意味で〈奇跡〉という名前をつけた。
この日は我が親愛なるブクガ、そしてブクガヲタに向けたアイドル音楽への可能性をブチまける、ラップが多めなセットとなった。ブクガとのコラボは、〈とにかく好きにやってください!〉という無茶ぶりにもかかわらず、最強のポエトリー・リーディングを乗っけてくれた。また是非ともコラボしたい才能である。アイドル音楽を敬遠してる方も、騙されたと思ってチェックしてみてほしい。

喜びを隠せない筆者とブクガ、そして不審者丸出しの食品さん
 
Maison book girlの2016年のEP『summer continue』収録曲“lost AGE”
 

“lost AGE”の筆者によるRemix。後付けでサクライさん(サクライケンタ、Maison book girlのプロデューサー)の許可を得たが、元々は作品のコメントをお願いされていたにも関わらず、〈Remix作っちゃった〉と勝手に送りつけたものである

 

6月30日:食品まつり @渋谷glad

2日目は前日に続き、食品まつりとのライヴ。ただこの日は、ベーシスト/MCとして彼のステージにゲストで参加するという形であった。そして現場はこれまたマイ(ウー)メンであるところのあっこゴリラちゃんの生誕祭、Hip Hopの現場である。こちらもマイメン・GezanマヒトによるHip Hop名義=peepow、そして僕が昔からずっと音源を聴きまくり、どうしてもライヴを見たかったOMSBのライヴも。どこまでも熱いKMC、そして締めのあっこゴリラちゃん。
僕が日本でPhysicalを感じるリアルなミュージシャンが全員集まっていたと言っても過言ではない。ステージでも客席でも踊りに踊りまくり、打ち上げでもサイファーしまくりと、最高な1日であった。ありがとう、そしておめでとうあっこちゃん。

リハ前に当日のBeatを作る食品まつり。作ったやつは下のVideoで聴けます
 
当日のダイジェスト(2分22秒頃から) 

 

7月1日:KISEKI @大阪・心斎橋Stomp

場所を大阪に移し、KISEKIの初大阪ライヴ。この日は食品まつりの最新作『ez minzoku』のリリース・パーティーであり、大阪のFootwork現場初体験でもある。

食品まつり a.k.a foodmanの2016年作『ez minzoku』収録曲“Beybey Feat.Taigen Kawabe From Bo Ningen”。食品さんの最新作、要チェックである。僕もこの1曲目でゲスト・ヴォーカルとして参加させて頂いている
 

僕は普段イギリスにいるので、 独自の進化を遂げる日本のFootwork/Jukeシーンに大変興味があったものの、SoundCloudにあがる音源や、TwitterまたはFacebookでしか動向をチェックできておらず、アイドルとHip Hopに続いてこの日の現場を物凄く楽しみにしていた。結果、DJのサウンドチェックから踊りまくり、呑みまくり、フロアでアカペラ・サイファーをしまくった結果、完璧に出来上がってしまい、朝方遊びに来てくれたSeiho君にラップで絡みだしたり、テキーラのショットを呑んだ瞬間に反転、安全地帯へリバースするという曲芸も披露。危うく〈MCショットtheマーライオン〉という 二つ名をゲットしそうになる。

ライヴの模様。朝方カプセルホテルのサウナにて酒を抜き、仮眠してから観光し東京へ帰る
 

 

ハロー著作権 in 西成japan
 
 
潰れる筆者&観光

 

7月3日:KISEKI @仙台

仙台は我々BO NINGENにテキーラを教えてくれたAOBA NU NOISEという大好きなクルーがいる、大好きな街である。

その首謀者こと Kamata君率いるWaikiki championsのイヴェントにお呼ばれした。KISEKIとしてのほか、僕はDJ、食品まつりはソロ・セットもプレイ。出演者とお客さんの垣根が最初からなく、最初から最後まで可能性が拡張されていくパーティーとなった。最後は食品さんのJ-pop DJで締め。

打ち上げまでの移動中、〈club snoozer〉で仙台に来ていた田中宗一郎氏に再会。最高に酔っぱらっていたため、先日のSeiho君に引き続き、久しぶりの再会とリスペクトをラップに込めてお届けする。笑顔で受け止めてくれた田中宗一郎氏には改めて感謝(と謝罪)をお送りしたい。周りのバンドマンの方から浴びた〈BO NINGENのヴォーカルってこんな人だっけ?〉という視線(四川)も含め、筆者はいくら酔っぱらっても全て覚えているスタイルなのである。

筆者のラップ、毎日違う現場で得るものを伝えるフリースタイル
 

翌日は長距離バスで帝都に帰るも、夜にBO NINGENのインタヴューが入っており、撮影もあるとのことで、さすがにボロボロのままでは行けない。ということで、東京到着と同時に二人で渋谷の銭湯にくりだす。実はここ、僕が産まれてから中学二年生頃まで過ごした地元であるのだが、この銭湯は行ったことがなかった。30歳になってマイメンと共に地元の銭湯に初めて入るというのも感慨深いものである。

改良湯
 

この日は食品さんのススメで水風呂に初挑戦。確かに、熱いお湯と交互に何回も入っていると頭がパキパキしてくる。僕達のように、ドラッグもやらなければ合法/脱法モノにも手をつけない健全な方々にはオススメのトリップ方法である。でも心臓が弱い方は気をつけてね。

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