7月5日:DJ @月見ル君想フ

この日はおやすみホログラムというアイドルと、ザ・ビートモーターズというバンドの異種格闘技イヴェントにオープニング/転換DJとしてお呼ばれした。

そしてこれが、自分のDJ史上でも選曲が非常に難しい現場となる。オープニングから最初のバンドに繋ぐまでも難しかったが、バンドからアイドルへ転換する際にどのような選曲をするかで非常に頭を悩ませた。

自分がDJをする際に、いかにお客さんが知らないであろう曲を、雰囲気を壊さずにご紹介できるかというところに気を遣っている。自分がお客さんで聴く際、待ちに待ったtuneが来た時に興奮するのは勿論だが、同時に新しい音楽との出会いも求めているからだ。

転換中、次に出演するおやすみホログラムをかけるわけにはいかないし、何かとバチバチすることも多いアイドル現場。〈現場とは違うアイドルの曲をかけて、Twitterでdisられた〉という友人の証言もあるので、適当に好きなアイドル曲を流せば良いわけではない。結果、Deep Medi系統の渋い系及び、Andy Stottなどの透き通る系Bass Musicと、少し落ち着いてる系のアイドル曲を混ぜることで対応した。事前におやホロのファンは元研究員(BiSのファン)が多いという情報も得ていたので、僕が一番好き、かつそこまでBiSっぽくない “太陽のじゅもん”を流した。安易ではあるが、〈おっ〉と思わせられていたら嬉しい。

おやすみホログラムの2016年のライヴ映像
 

ちょっぴり楽しみにしていた、おやホロのライヴ(バンド・セット)は予想以上に楽しく、僕も客席で飛び跳ねたり横のヲタさんと肩を組ませてもらったりと、最大限に楽しませてもらった。

そして月見ルはやっぱり雰囲気がいいな〜。

おやホロの2人と撮ってもらいました。ち、近い……

 

7月6日:BO NINGEN w/ Mouse on the Keys @渋谷La.mama

そしてついにやってきた、今回一発目のBO NINGEN。
〈VS〉シリーズ第1戦目の相手は、数か月前にロンドンでライヴを拝見していたMouse on the Keys。ちなみに今回の〈VS〉シリーズは全バンドが初シングル・マッチであった。

我々は日本でのライヴのほうが緊張する。凱旋、日本語の意味を全て理解されてしまう等の要因もあるが、日本のライヴハウスの作り、お客さんの集中力、広義に渡れば日本の音楽文化の話まで言及することになってしまうので、そこらへんはMikikiで行ったCrossfaithとの対談を参考にして貰うとしよう。

★参考記事
Crossfaith × BO NINGEN、海外で必要なのは〈気合い〉! バンド界の日本代表が、世界を舞台に高い目標を達成できる理由

そんなこんなで、リハはいつも以上に緊張していたの憶えている。それでも本番が始まってしまえば、課題は残りながらも初期衝動が入り交じるライヴに。Mouse on the Keysはポスト・ロックの枠を越える演奏力と表現力があるバンドであり、小さい箱で観てさらにダイナミクスとパワー感が伝わってきた。

2017年1月25日にリリースされるMouse on the Keysの新EP『Out Of Body』収録曲“Earache”

 

7月7日:Yosuke Torii @CALM & PUNK GALLERY

今年3月に行ったPrimal Screamとのツアーに同行し、そのツアーとメンバーのロンドンにおける生活風景を撮影した鳥居洋介による写真展〈BO〉、及び写真集「BO」のオープニング・パーティーがCALM & PUNK GALLERYで行われた。

鳥居君とは長いもので2013年の〈フジロック〉で出会って以来、3年の付き合いだが、今年のツアー同行、オフ時に筆者の部屋で行った共同生活により、さらに絆が深まった。ライヴ写真のエッジの尖り方は言わずもがな(本稿後半の〈フジロック〉での写真は全て彼の撮影したものである)。

今回の展示/写真集で注目したいのは、ステージ以外でのメンバーの表情である。彼氏か彼女、または家族にしか引き出せないような表情の写真が非常に多い。写真集「BO」のほうは在庫が残り少ないが、まだ発売中なので是非チェックしてみてほしい。

★写真集「BO」の詳細はこちら

自分自身の写真も含めて、恥ずかしくもあるが大好きな写真達(展示と写真集では写真のチョイスが異なります)
 
遊びに来ていただいた宇佐蔵べにさん(あヴぁんだんど

 

7月8日:KISEKI @東京・Forestlimit

この日はロンドンからの盟友であるFumie Cが企画する〈BANG THE NOISE〉に、またしてもKISEKIとして出演。2日前のバンドの現場とは打って変わって、この日は関東Gorge勢がブッキングされたイヴェントである。

Gorgeというジャンルについては説明すると長くなるので、横着な方はこちらのまとめへ。もっと突っ込んで脳と耳を騙されたい方は、国内唯一の専門レーベルGORGE.IN公式サイトを参考にどっぷりハマってほしい。

志茂田景樹をラッパーとしてGorgeに引き摺り込んだ張本人・HiBiKi MaMeShiBa氏と、即興を得意とする東京アングラDJ特攻隊長のDJ MEMAI氏との、敢えてお互いのスタイルをリサーチせずに臨んだという即興DJ対決。非常にスリリングでいて、物凄く刺激的であった。これからDJを始めたい方は、これを観てDJという概念を一度壊してからDJを初めてほしい。(あらゆる邪悪な理由で)DJ始めました。という知人がいたら、この日の動画を見せて反応をチェックほしい。その友人とあなたの関係性が見えてくるはずだ。

DJ MEMAI x HiBiKi MaMeShiBa @Forestlimit
 

そして僕が一番期待していたのが、クラーク内藤氏である。一人でバッキング・トラックを操りながら歌う、彼のようなソロのスタイルの場合、カラオケにならないようにする一番大事な要素とはなんであろうか。

僕はPhysicalであるか否かであると思う。前記のあっこゴリラちゃんのイヴェントに出ていたMC全員にも言えることだが、皆Physicalであり、会場でライヴをする意味が伝わってくるが故に踊れるのだ。体型の話ではなく音が、パフォーマンスが肉体的なのである。そして、奇抜な動きをすれば良いというわけでもない。そういう意味でも、クラーク内藤氏のライヴは非常にフィジカルだった。そして〈この人、絶対にうちのドラマーのMon-chanと気が合うだろうな〉と心の中で思ったのだが、予想通り2人は意気投合して、この日、そして帰国前のBO NINGENのイヴェントの打ち上げでも熱心に笑顔で話しているのを見かけて、ニヤニヤ頷く筆者であった。

クラーク内藤の2015年のライヴ映像
 

そんなライヴが続いたあとで、KISEKIもフィジカル度を増さなければ嘘になる。この日は食品さんもマイクを持ち、2MCスタイルで攻めに攻め、母親が観に来ているのも忘れて色々と恥ずかしい単語まで溢れ出ていたという。それもこれも食品まつり氏のおかげだ。色々な意味で自分の壁が壊れていくのを感じた。

 

7月9日:Taigen Solo @新宿LOFT

前日は〈BANG THE NOISE〉の主催の2人、Yuki、Mon-chanを含む仲間内数名で、会場周辺で始発を待ったのだが、この日のイヴェントの会場入りが14時だということが判明する。そして食品さんの提案で、新宿LOFTの近くのサウナに泊まることになった。今回の大阪、仙台なと、地方で泊まることはあれど、東京にいながらサウナに泊まるのは初めて。

サウナで流れるEXILE TRIBE主演映画「HiGH&LOW THE MOVIE」のトレイラーがいろいろな意味で強烈だった。

そしてそのまま恒例の水風呂に入る。食品さんが言うところの〈臨死体験〉を楽しんでいると、おっさんが頭から突っ込み全身潜水。その波紋で我々は現世に引き戻された。

前回は水風呂だったが、今回の 初体験はサウナの大型仮眠室である。新宿でもかなり大きなサウナであったため、100人は優に越える人数が寝ている。そしてみんな鼾が尋常でない。微妙な仕切りはあるのだが、タコ部屋の雑魚寝ってこんな感じなんだろうな。と、非日常感のなか就寝。

翌朝、先に起きたので食品さんを起こそうとするも、横の方が睡眠時無呼吸症候群だったようで〈む“う”っ“!!!!がコッ!!!ぼごっ”!!!!〉という轟音アラームにより食品氏も無事起床。爽やかな気分でライヴ会場入りを果たした。

しかし、サウンドチェックで問題が起きる。僕の愛用しているループ・マシンが壊れて動かなくなったのである。翌日から機材も変えていないので、Laptopなどもなく、これはピンチ。結果、食品まつり氏にヒューマン・サンプラーになっていただくことにより、無事ステージをこなす。30分セットでアカペラ部分が10分はあったであろう、チャレンジングなソロ・ライヴとなった。