INTERVIEW

関野直樹 『FANTASIC PIANO』

〈幻想ソナタ〉をテーマに選んだ名曲の違いを楽しむ

関野直樹 『FANTASIC PIANO』

 リスト弾きとして知られる関野直樹が、『リストの世界』『リストと様々な音楽の出会い』に続く3枚目のアルバム『ファンタジック・ピアノ』をリリース。その名の通り「幻想―ファンタジー」を軸として、ベートーヴェンの幻想ソナタ《月光》の後にスクリャービンの《幻想ソナタ》が続くなど、1枚のアルバムの中で興味深い世界を作り上げている。

 「今回のアルバムは幻想曲ではなく、〈幻想ソナタ〉をテーマとしましたが、スクリャービンの《幻想ソナタ》から思いついたものです。私のテーマであるリストの中で、最初に挑戦したのが大曲《ダンテを読んで-幻想風ソナタ》であり、ベートーヴェンのソナタの中で幻想風ソナタと呼ばれる《月光》は、演奏会でよく取り上げていますが、これら3曲が密接に関係していることにも惹かれました。今回選んだ6曲には類似性がありつつスタイルや響きなどの違いが明確で、それぞれが興味深い曲です」

関野直樹 FANTASIC PIANO T-TOC RECORDS(2014)

※参考音源はこちら

 そのファンタジーをどう捉えているのだろうか。

 「文学や芸術の世界において“幻想”というキーワードはとても重要な一つであり、それを生み出す力、ファンタジーは、人間の想像力の源です。言葉の通り“まぼろし”を“想う”、より深い世界。もしかしたら現実を受け止めた時に感じる、理想とのギャップを埋めたいと思う気持ちなのかもしれません。とりわけ音楽はまだ形にならない混沌とした人間の情念・熱情を、直接、音のうねりとして描き出す力に特徴がある。プレリュードトッカータなどと同様に即興的に演奏したことに由来しますが、より自由な想いを伝える、作曲家の創造の舞台です」

 ファンタジーとソナタとの関連性とは?

 「今回のテーマ〈幻想ソナタ〉は、対極にある形式〈ソナタ〉と結びついて音楽の創造性がどのようにソナタの中で展開するかも大きな楽しみです。時代背景の違う作曲家の名曲を選びましたが、ショパンの2曲は、欠くことの出来ない幻想曲の性格小品です」

 今回のアルバムはベヒシュタインのピアノを使用。ワイマールのリスト博物館所蔵のリストが開発し使用していたベヒシュタインのフルコンサートで演奏したことのある関野だが、今回は「スタジオの素晴らしいベヒシュタインとの偶然の出会い」だったという。ハンガリー在住の関野にとって、「日本と同様に、ブダペストの生活空間も私の日常であることが、ごく自然にリストらの音楽に身を委ねる力になっている」。そんな彼へのインタヴューはメールを通してのものとなったが、異国で活躍するピアニスト関野直樹への思いを巡らせる“ファンタジック”なものとなった。

 


 

LIVE INFORMATION

協奏曲の夕べ
○6/20(金)東京オペラシティ・コンサートホール
石田泰尚+関野直樹+NHK交響楽団のメンバーによる弦楽合奏団


ミュージック・ショット・バーin表参道vol.4
○7/8(火)カワイ表参道・コンサートサロン”パウゼ”

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